コロナ禍、需要逃さず準備 企業誘致や観光振興に注力
北海道の流通、経済を支える新千歳空港と共に発展してきた千歳市。コロナ禍にもかかわらず企業進出が目立ち、既存企業も事業拡大に向けた設備投資が相次いでいる。平均年齢が道内一若く、人流が増える一方で、宅地不足の課題が挙がる。山口幸太郎市長に企業誘致の取り組みや住宅地の在り方などを聞いた。

山口幸太郎市長
-工業団地で企業立地が活発だ。
2021年は自動車流通関連でトヨタユーゼック、リネンサプライでザイマックスなど広い業種で8件の進出があった。コロナ禍前の投資計画をそのまま実施した企業と、収束後の需要を見据えた企業による立地だと捉えている。
空港があるだけでなく、災害リスクの少なさや工業系大学の存在、自衛隊退職者などによる労働力といった面で、企業がメリットを感じてくれたのではないか。
-リモートワーク普及の影響はあるか。
コロナ禍でもリモート技術が支えとなり、地方への事業拠点移転、新規設置に伴うサテライトオフィス需要が出てくるだろう。こうしたニーズに合わせて1月17日、JR南千歳駅前のビジネス支援施設「アルカディアプラザ」に、テレワークに向く作業スペースを仮オープンした。来道者に利用してもらう想定で、ビジネスマッチングにつながればと考えている。
最近では仕事を兼ねた旅行需要もある。支笏湖があり、札幌にも近い立地を生かして、新たな企業進出につながる取り組みを進める。
-工業団地が広がる一方、宅地不足を懸念する声がある。
11-20年度の第6期総合計画では、宅地を増やさず、歯抜けになった保留地や増加する空き家を活用する方針だった。しかし街が発展するにつれて宅地が足りなくなった。
交通の要衝として千歳に注目する人はたくさんいて、最近では新しい家に住みたいという風潮にある。そこで、21年に春日町5丁目の未利用市有地を売却し宅地を供給した。ことしは大和4丁目の市有地を予定している。地価上昇という問題はあるが、住宅地は増やせると考えている。
-まちづくりには空港の進展が欠かせない。
2年前に道内7空港が民営化し、北海道エアポートが路線の拡充やそのための設備投資を打ち出した。しかしコロナ禍の影響で計画が後ろ倒しになり、路線を撤退した航空会社もある。事態が回復するまでには数年かかるだろう。
アフターコロナを見越して、アドベンチャートラベルの拠点となる「支笏湖Village」づくりに官民で着手した。宿泊・売店施設の改装などを施し、長期滞在の実現を目指していく。コロナを克服する時期は必ず来る。今から準備を進めて国内外から多くの人を集めたい。
(聞き手・武山 勝宣)