道や国に整備効果訴えたい 福島町が先頭に立つ
JAPICが北海道側坑口の候補地とする福島町では「第2青函トンネル構想を実現する会」が2019年に発足した。「以前は第二青函トンネル構想について議論する雰囲気はなかったが、北海道新幹線開業などを経て、ここ数年で少しずつ機運が高まっている」と会長を務める鳴海清春町長は話す。
会員は22年11月時点で約780人。建設業関係者や商工会役員らが重要ポストを務める。新型コロナウイルス感染拡大の影響でしばらく活動は下火だったが、今後は各所で講演会などを企画し、整備の意義や重要性を訴える考えだ。
鳴海町長は「31年がこの構想の潮目かもしれない。東京―札幌間が新幹線で結ばれ利用者が増えると、速度などの問題がより浮き彫りになる」と予測する。そのときに迅速に動けるよう「期成会などを発足し、地元の機運を高めることが大切」として、いち早く活動をスタートさせた意図を説明する。
実現に向けては「このような大きな計画は福島町だけでは実現できない。道や国を巻き込むことが重要」と連携促進の重要性を指摘する。
「自動車が通れる第二青函トンネルができれば、北海道の農産物などを本州に円滑に輸送できるようになる」とメリットを強調する。ロシアによるウクライナ侵攻で、小麦をはじめとする食糧供給に影響が出たが「外国で紛争などが起こった際の物価高騰や輸入制限などに対して、国内で対応できるようになるかもしれない」。道や国全体にこうした効果があることを伝えるべきとしている。
その上で「まずはどこかが声を上げないと何も始まらない。福島町が先頭に立ち、機運を盛り上げたい。今後は渡島総合開発期成会などにも働き掛ける」と意気込む。実現に向け、一歩でも二歩でも前進するよう活動を続ける考えだ。
公共事業の縮減や日本経済の冷え込みに、コロナ禍やウクライナ情勢の悪化による経済的混乱が道内建設業に追い打ちを掛けている。第二青函トンネルが実現すれば、経済発展の起爆剤となり得るのは間違いない。長い年月と労力を要するが、まずは声を上げて行動することが重要だ。大きな夢の実現に向けて、伸びつつある芽を絶やさないよう議論を続けるべきではないだろうか。