コラム「透視図」

菅義偉氏が第99代首相に

2020年09月17日 09時00分

 自らの生活に役立てたいとの願いと、見ず知らずの人の生活をこっそり盗み見るような後ろめたさとが混じって妙に気になるのが新聞やラジオの人生相談コーナーだろう。親子や夫婦、兄弟のもめ事からご近所付き合い、仕事の悩みまで。深刻な相談が日々寄せられ、弁護士や学者、作家といった識者が親身になって助言をする。筋論に終始するより、相談者の目線に立って考え、導かれた回答の方が心に響くようだ。そんな人生相談の一つ、読売新聞の「人生案内」を毎日愛読しているのがきのう、第99代総理大臣に就任した菅義偉氏である。好きが高じて今では雑誌『プレジデント』(プレジデント社)に、「菅義偉の戦略的人生相談」という連載を持っているほどだ

 ▼秋田県湯沢村のイチゴ農家に生まれ、高校卒業後、家を飛び出すように上京。工場に勤めたが希望を見い出せず、一念発起して働きながら法政大に通った人である。いろいろな現実に触れられる「人生案内」は自分の励みにもなったのだろう。菅氏は安倍政治の継承を第一に掲げながら、持論である縦割りや既得権益、あしき前例主義の打破にも意気込みを見せる。ただ当面はコロナ禍で疲弊した社会の立て直しと、経済の再生に取り組む必要があろう

 ▼以前、プレジデントのインタビューで「人生案内」はまず相談を読み、自分なりに答えを出した後で回答を読むと語っていた。いつしかそれがほぼ一致するようになったという。きょうからは日本の諸課題を解決に導く最前線に立つ。こちらも国民の願いと一致した答えを出せるといい。


UFOを監視せよ

2020年09月16日 09時00分

 今はあまり話題に上らなくなったが、1970年代には未確認飛行物体(UFO)が大流行していた。テレビや雑誌が頻繁に取り上げていたのを覚えている人もいよう。当時は〝未確認飛行物体〟でなく〝空飛ぶ円盤〟と呼ぶのが通例だった

 ▼71年放映の特撮ヒーロードラマ『宇宙猿人ゴリ』(フジテレビ)も毎回、地球を侵略しに来たゴリの乗る円盤が突然現れるシーンから始まった。それだけ人気があったわけだ。かつてほどの盛り上がりはないとはいえ、現在でも夜空に浮かぶ謎の光体や、青空を背景に不思議な動きをする物体があればそれなりに騒ぎになる。最近も6月に東北上空で白い飛行物体が目撃され、大きく報道されたばかりだ

 ▼地球を侵略しに来たのではなくとも、安全のためとりあえず正体くらいは突き止めておきたいもの。そんな必要に迫られてのことだろう。河野太郎防衛相がおととい、自衛隊の航空機などがUFOに遭遇した際、写真撮影や情報分析を実施するよう指示を出したという。米国防総省も先月、UFOを調査する特別チームの立ち上げを発表していた。日米ともドローンの普及が背景にあるようだ。航空機の運航に支障が出たり、敵国や反社会勢力が情報収集や妨害活動に利用したりするのを防ぐのが狙いらしい

 ▼即物的な話で面白みもないが安全保障を考えれば当然の措置に違いない。確かに近頃、政府機関や飛行場にドローンが侵入する例は増えている。さらに高性能化が進むと宇宙猿人並みの脅威にならないとも限らない。UFOも素直には楽しめない時代である。


旅客機内でのマスク

2020年09月15日 09時00分

 マナーというのはなかなか難しいものである。人間関係を円滑にするため最低限わきまえておくべき礼儀や作法、行儀のことだが、実際、行動に移そうとすると迷う場面も少なくない

 ▼例えば混み合った電車に自分が座っていて、お年寄りが乗ってきたとする。席を譲るのがマナーなのは間違いない。ただ、その人が自分を年寄りと考えていない場合もある。かえって気分を害する結果になりはしないか。葛藤が続く。歌人の穂村弘さんもエッセー「合意のマナー」で難しさに触れ、こう解説していた。「マナーを守るためには、その前提についての合意が必要だ。これが曖昧だと皆が困ることになる」。世の中にはいろいろな人がいる。合意といっても簡単でないのが現実だろう

 ▼それを再認識させられる出来事だった。釧路空港発、関西空港行きピーチ・アビエーション機内で男性がマスク着用を拒否した上、客室乗務員を威圧したとして新潟空港で降ろされた先週の騒動の件である。賛否の意見があるようだ。大方の意見はピーチ側の対応を支持している。客室乗務員の要請に従わず、安全航行に懸念が生じる恐れがあったとすれば強制退去もやむを得まい。電車やバスと異なり自在には止まれない旅客機には高い安全性が求められる。一方、「マスク一つでそこまでするか」との意見もあるそうだ

 ▼12日にも奥尻空港発函館便でマスク着用を拒否した男性が離陸前に降ろされるトラブルがあった。コロナ禍終息に至る過渡期ゆえの珍事だろう。合意が揺らぎはじめているのである。マナーはやはり難しい。


社会の免疫異常

2020年09月12日 09時00分

 自己免疫疾患と総称される病気の一群がある。よく知られているのは慢性関節リウマチだろう。本来なら自分の体を守るため細菌やウイルスなど外敵と戦うはずの免疫に異常が生じ、正常な自己組織を攻撃しはじめる病態である

 ▼当方の母もリウマチで、手指が拘縮してほとんど自由に動かせなくなっていた。日常生活を送る上での苦労は並大抵でない。特効薬もないという。上手に付き合っていくしかないのである。コロナ禍にあえぐ今の世の中を見ていて、その自己免疫疾患を思い出した。新型コロナ患者からも免疫異常の症例が報告されているが、この場合はそちらでなく現在の社会の様相の方。近頃、感染拡大を防ごうとして打たれた対策で、経済や生活が破壊される例が増えているように感じるのである

 ▼帝国データバンクによると、全国で514件(10日現在)の新型コロナ関連倒産が判明しているそうだ。客が激減した飲食店やホテル・旅館業が多い。人知れず廃業したところもまだあるに違いない。住む場所を失う人も増えているという。収入が減り、家賃やローンが払えなくなるのである。9日のNHK『クローズアップ現代+』が伝えていた。さらなる懸念は警察庁が発表した8月の自殺者数だ。去年より246人増えた

 ▼諸悪の根源がウイルスなのは間違いない。ただ、ゼロリスクを求めるあまり、本来は社会を守るはずの施策が人々を攻撃しているなら厄介な話だ。ウイルスの実像もだいぶ分かってきた。やはり特効薬はないが、社会が動けなくなる前に上手な付き合い方を見つけたい。


ドコモ口座不正

2020年09月11日 09時00分

 防犯設備がしっかりしていたはずの大店に泥棒が入った。後から調べてみると思わぬ抜け道が―。落語の「穴どろ」である

 ▼泥棒が堅固な蔵を眺め侵入は無理だとあきらめかけたとき、2階の雨戸が開いて人が出てきた。見ていると屋根を伝い、天水おけを足掛かりにして店の外に下りた。奉公人がこっそり夜遊びに出掛けたのだ。雨戸は開いたままである。泥棒がはたと膝を打つ。「あれを逆に行けば中に入れる」。社会的信用度の高い大店だ。そこまで程度の低い行為がまかり通っているとは誰も考えまい。ところが現実には往々にしてそんなことがあるようだ。最近ではNTTドコモと銀行である。鉄壁のセキュリティを誇る会社との印象が強いが、やはり雨戸が開いたままだったらしい

 ▼ドコモの電子決済サービス「ドコモ口座」を悪用し、銀行口座から預金を不正に引き出す犯罪が増えている。個人認証に若干の知識と技術を持った泥棒なら容易に裏をかけるくらい、ずさんな認証システムだったようだ。手口は単純である。まず犯人は被害者になりすましメールアドレスがあれば開けるドコモ口座を用意。次に不正入手した被害者の銀行名義でドコモと銀行の口座をひも付け。あとは被害者の銀行からドコモに送金するだけ

 ▼狙いは主に地方銀行で、ドコモユーザーでなくとも銀行に口座があれば誰でも被害者になる可能性がある。ドコモと銀行共に本人確認の甘さという穴を突かれた。落語の泥棒はドジを踏んで捕まったが、システムのセキュリティホールを突く現代の「穴どろ」はかなり手強い。


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