まちづくりを進めるためにどんな人材が必要か。10年くらい前から語られ始め、いまやすっかり定着した観があるのは「若者、ばか者、よそ者」だろう。三者に共通するのは今までになかった発想である
▼その地域に長くいればいるほど、駄目な点は目に付いても、そこにしかない価値には気付けなかったりする。美しい景色もおいしい食べ物も日常であれば特別感はない。となれば出る言葉は「ここには何もない」。ところが実際には、地域の魅力は隠れているだけ。そんなとき若者は古い考え方を振り払い、ばか者は既成概念を破壊し、よそ者は全く別の角度からの見方を教えてくれる。それでようやく地域の人々も、埋もれていた宝を自分たちで再発見することができるのである
▼今ならこの三者に、「者」ではないが「女性」を加えるべきかもしれない。潜在的に大きな力を持つにもかかわらず、これまで必ずしもまちづくりを含めた政治、経済の分野で十分にチャンスが用意されていたとはいえなかった。これはその象徴的な出来事の一つではないか。24日に投開票された新潟県津南町の町長選で、桑原悠氏が当選した。桑原氏は31歳の女性。全国最年少の女性町長の誕生である。同町出身だが東大で学んだというから「よそ者」の視点も持っているに違いない
▼津南は歴史ある人口1万人の町。それだけにしがらみも強かったろうに、町民が桑原氏を選んだのは地域の衰退に危機感を強め変化を求めたからだろう。若者でよそ者の目も持つ女性。今の時代にこれほどぴったりの資質を持つ町長もない。