▼昭和のムード歌謡を代表する曲の一つに「別れても好きな人」(佐々木勉作詞作曲)がある。1979(昭和54)年にロス・インディオス&シルヴィアが歌い大ヒットした。スナックでは必ずカラオケを入れるという人も少なくないだろう。「別れた人に会った/別れた渋谷で会った」で始まり、「別れても」「好きな人」の男女掛け合いで終わる。未練で湿った女性の心が男たちをいたく刺激するようだ。
▼一方、こちらは「好きだけどつまらない人」だそうだ。民進党代表選に出馬表明している蓮舫代表代行が、日本外国特派員協会の記者会見で岡田克也代表を評して言ったことである。正確には「大好きです。ただ、本当につまらない男だと思います」とのこと。湿り気などどこにもなく、むしろドライでばっさりといった感じだろう。岡田氏に代表を続けてほしかったとの未練はなさそうだ。かつて2位では駄目なのかと疑問を呈した蓮舫氏も、今回ばかりは1位を目指すようである。
▼もっとも蓮舫氏の発言の趣旨は別の部分にある。「人間はユニークさが大事。私にはそれがある」。ユニークとは唯一性のこと。岡田氏にはないらしい。蓮舫氏からこの言葉を聞くと、前例に既得権益とのレッテル貼りをした揚げ句、国政の混乱を招いた民主党政権時代を思い出す。肯定的に受け取れないのは、それがまだ記憶に新しいからに違いない。さて代表を退く岡田氏だが、「代表を降りても~」の歌い掛けに返される言葉は何だろうか。「つまらない人」でなければいいが。