休校に対応、子ども同伴許可
新型コロナウイルスの感染拡大が、建築業界でも住宅設備の品薄という形で影響を及ぼしている。大手メーカーが供給を再開したものの、需要が供給を上回る中、実際には一部で調達が厳しい状況は続いている。
公共・民間建築を中心に展開する松浦建設(本社・岩見沢)は、個人住宅の新築やリフォームも請け負う。松浦淳一社長は「中国部品の欠品で住宅設備はオプションが多いものほど調達が困難な状況になっている」と不安を募らせる。
特に、ユニットバスやトイレなど水回り品、食洗機やIHヒーターファンの入手が厳しい状態だ。新築住宅の場合、これら住宅設備の取り付け工事は最後の工程で、着工してからショールームに出向いて商品を決めていたが「早い段階から確保に動く必要がある」と危機感を持つ。
もしも、顧客が希望する住宅設備が入手できない場合は、新築住宅の工期が数カ月延びてしまう可能性もある。リフォームの場合は、住設備入手まで待ってもらうしかない。工期が延びるとコスト増は避けられないが、「取引のある顧客に対し、見積もりから上乗せして請求するわけにはいかない」と考えている。
8つの共同企業体で施工中の岩見沢市役所庁舎建設は、資材調達など今のところ影響はないが「1人でも新型コロナウイルスにかかると大きな問題になる」と細心の注意を払う。現場事務所の換気や手洗い、ミーティング時の距離、体調管理の徹底を心掛け、協力業者を含めた予防対策への意思統一を図っている。
自社従業員に対する取り組みでは、道の非常事態宣言を受けた岩見沢市内小中学校の臨時休校について、本社の社員用休憩室を預かりスペースとして子ども同伴出動を許可し、3人の社員が利用。万一に備えた対策マニュアルも準備している。
岩見沢商工会議所の会頭も務める松浦社長は、中小零細企業は地域経済の動きに敏感という。最も恐れるのは、景気低迷による個人消費のマインド低下や民間の設備投資意欲の後退だ。状況は刻々と変化し、予断を許さない。多くの企業がコロナの渦に巻き込まれる中、早期終息を願い、地域の建設業として「何ができるのか」と考え、負けられない試練と闘っている。(おわり)
(空知支社・荒井 園子記者)
(北海道建設新聞2020年4月25日付16面より)