複数企業での資材購入検討
建築・土木業を展開する日成建設(本社・芦別)は新型コロナウイルスが猛威を振るう中、ことし受注予定だった工場増築計画が延期となる憂き目に遭った。終息時期は不透明だが、坂田啓一郎社長は「できることから対策を講じたい」と前向きだ。新型コロナウイルスの悪循環で工事用資材が少量では入手しにくい場合、複数企業でロット購入を検討するなど知恵を巡らせている。
坂田社長はことし1月に社長に就任。これから会社経営のかじを取ろうと意気込んでいた矢先、新型コロナウイルスの感染拡大に直面した。工場増築計画は施主から待ったがかかった状態。建築部門の受注は公共事業が中心だが、今回の工場増築には期待を込めていた。
政府による緊急事態宣言の影響で工事用資材の動きが予測できず、鉄骨などの入荷に不安を募らせている。これまで通り自治体からの受注で「利益を残して施工できるだろうか」と不安を抱き、中長期経営で描いていた計画は「白紙に戻った」と打ち明ける。
人材確保の一環として2021年度に外国人技能実習生の受け入れを考えていたが、出入国制限などを考慮し先送りした。
未曽有の国難に不安を抱えつつも「どう対応したらいいか分からないのはベテランでも新米経営者でも同じ。若い分、機動力を生かせるのではないか」と力を込める。
感染予防対策では、検温や手洗いの徹底、ミーティング時の距離確保など「できることから進める」とし、事業継続計画(BCP)策定も新型コロナウイルスをきっかけに取り組む意向だ。
同社でこれまで前例はないものの、工事用資材の確保について、数社で協力しロット購入による資材の確保も考えている。「不安ばかり言っても仕方ない。業界の仲間たちと協力しながら、互いが良い方向に動くように努力したい」と前を向く。
新型コロナウイルスの影響で「飲食、観光、福祉など業種によっては採用が少なくなる」と予測。これまで興味を示さなかった人材も「こういうときこそ地域の安定した雇用の受け皿として、建設業に目を向けてくれるチャンスではないか」と希望を持っている。(空知支社・鈴木 穂乃花記者)
(北海道建設新聞2020年4月23日付10面より)