何がどうしたのかさっぱり分からない。きのうの衆議院解散の報を聞き、そう思った人がほとんどではないか
▼安倍首相はなぜこの時機を選んで解散したのか、小池都知事の希望の党は日本をどう変えようとしているのか、事実上の解党を決断した前原民進党代表の思惑とは…。一部の国会議員は生き残りをかけ、コウモリよろしくあっちへフラフラこっちへフラフラ。国民のことなどまるで気にもしていないようだ。政府は衆議院選を10月10日告示、22日投開票と決めた。置いてきぼりを食ったような国民のさめたムードを尻目に、政界は一気に盛り上がりを見せている。まあ、彼らにとっては数年に一度のお祭りなのだろう。普段は目立った仕事もしないのに、みこしを担ぐとがぜん元気になる人はどこにでもいる
▼大義と言えるかどうかは置いておくとして、今回、安倍首相が信を問うのは「全世代型社会保障」のための消費税増収分の使途変更と9条見直しを主とする憲法改正、北朝鮮への対応策だという。これに対し突如台頭してきた希望の党は、しがらみのない政治を実現するため「日本をリセット」するそうだ。耳触り良い言葉で政権を握ったものの、国力の弱体化を招いたかつての日本新党や民主党と同じでなければいいのだが
▼民進党に至ってはうたかたの夢がついえたというのだからお話にならない。さて、分からないと悩んでいても仕方がない。政権選択の意思を示す貴重な機会。どの候補者が仕事をする人か、みこしを担いで空騒ぎするだけの人か、さめた目でしっかり見極めたい。