▼先の連休に、用事があって旭川へ行ってきた。札幌市内から旭川まで高速道路に乗ったのだが、途中から満開のエゾヤマザクラが次々と現れ、思わぬ花見を楽しんだ。雨上がりで空気が澄んでいたため、雪を抱いた夕張山系や樺戸山系も格別に美しく見えた。他にも目に付いて仕方なかったものがある。それは高速道路をまたぐこ道橋である。これまで何度も走っていて、気にしたことなどなかったのだが。
▼理由は考えるまでもない。発生からもうすぐ1カ月になろうとする熊本地震の影響だ。一連の地震では九州自動車道のこ道橋6本が大きな被害を受け、このうち「府領第一橋」1本は16日の本震で高速道路上に崩落した。だからである。怖いというほどでないが、運転していて目の前にこ道橋が見えるたび不安がぼんやり頭をかすめた。この橋脚は少々きゃしゃ過ぎないか、もしあの高さから橋桁が落ちてきたら…。取り越し苦労だと分かっていても、報道で見た光景が頭を離れない。
▼被災したわけでもない北海道の住民にしてこうなのだから、現地に住む方々の心労はいかばかりか。せめて体だけでも大切にと願うばかりである。昼夜別ない地元建設業者らの頑張りはもちろん、全国各地からも多くの技術者が駆け付け、インフラの応急復旧は随分進んだと聞く。ただ、普通の生活を取り戻すのはこれからだ。政府はきょう、復興に向けた総額7780億円の補正予算案を国会に提出する。編成が早いのは何より。被災者に寄り添う血の通った予算執行を期待したい。