▼英国の昔話で「三びきの子ぶた」といえば、知らない人はいないだろう。子ぶたの3兄弟が幸せに暮らすため、それぞれ自分の家を造る話である。この昔話がいまだ愛されているのは、古今東西を問わず、マイホームを持って幸せにとの願いがあるからか。さて長男はワラ、次男は木の枝で家をこしらえたのだが、オオカミにあっけなく吹き飛ばされ、食べられてしまう。昔話は得てして残酷なものである。
▼ここで終わっては身もふたもないが、昔話は最後にしっかり者が登場する。この話も例にたがわず、三男の子ぶたが吹き飛ばされないよう、れんがで家を造り、オオカミを返り討ちにして「めでたしめでたし」。知恵を使って安心のマイホームを手に入れたというわけ。ところで、ホームをどうするのが一番良いのか、頭を悩ませているのは「三びきの子ぶた」だけでないらしい。北海道新幹線の終着となる札幌駅のホームをどこに置くか、そんなこともなかなか決まらないのである。
▼国交省から認可を受けていた在来線転用の3案についてJR北海道は先頃、全て「実施は不可能」と表明した。ここにきてワラも木の枝もれんがも吹き飛んでしまったわけ。在来線輸送への影響がその理由という。道や札幌市は現駅直結を前提にまちづくりや観光戦略を進めてきただけに不満を隠さない。駅西側に新設する案も取り沙汰されているが、さて。ともあれ、お互い不信感を募らせていても仕方ないだろう。協力して少しでも早く知恵ある四男の子ぶたを見つけた方がいい。