明日を見いだす 建設業若手経営者の挑戦

 建設業で30代、40代の経営者が続々と登場している。

 足元では少子高齢化、ITの発展で社会が大きく変化する中、コロナショックの発生で経済は混乱のさなかにある。不透明感を増す新時代を担う経営者たちは、これまでどう歩み、これから何を目指すのか。

 北海道建設新聞は、北海道経営未来塾(長内順一塾長)の協力を得て、同塾で学んだ建設業の若手経営者7人を取材した。連載で紹介する。

明日を見いだす 建設業若手経営者の挑戦(3)内池建設 内池秀敏社長

2020年06月12日 12時00分

夢は全国主要都市進出 戦略倉庫武器に市場へ先手打つ

内池秀敏社長(43)

 「今は耐える時期といわれているが、拡大するであろう市場に対して先手を打ちたい」。室蘭、札幌を拠点に事業を展開する内池建設の内池秀敏社長は、新型コロナウイルスの影響で国内経済が混乱する中、4月に仙台市で事務所の開設に踏み切った。順調に売り上げを伸ばす新事業の戦略倉庫を武器に、全国主要都市進出の夢に向かって奔走している。

 内池建設は内池社長が4歳の時に、父・真人会長が室蘭で創業した。当時は社屋と住まいが隣り合わせだったため、朝早くから夜遅くまで働く父をいつも見ていた。そんな姿がとてもかっこよく思い、「いつかは父の会社で働きたい」という夢を描いていた。

 その気持ちがあまりに強かったせいか、小学校3年生の時、1級建築士の資格が入社条件だと思い込み、「自分は絵が苦手だから学科はできても、製図は無理だから受からない」と悩んだ。「入社したら、そうではなかった」と笑うが、今では1級建築士だけではなく、中小企業診断士や宅地建物取引主任者など多くの資格を持っている。

 東京の大学を卒業し、ハウスメーカーを経て念願の内池建設に入社したのは29歳の時。役職は取締役社長室長だった。社内には年配の従業員が多く若者ながら役職が高いことから、「みんなにどう認めてもらうのか」を意識した。考え出した手段が、1級建築士に加えて中小企業診断士の資格を持つことだった。「技術と経営が分かる存在になれれば強みになると思った」

 社長に就任した2007年からは従業員とアイデアを出し合ってモデルハウスの新ブランド立ち上げやリフォーム事業、不動産業の参入など、新事業を推し進めた。中でも主力商品となったのが18年にスタートした戦略倉庫だ。規格化したS造の倉庫を設計から施工まで一貫して受注するもので、高品質で低コスト、短納期が注目された。

 インターネット通販の普及や国が農業の輸出拡大を進めていることなど、時代のニーズを捉えたことで関連企業からの引き合いは強く、事業初年度に1億円だった売り上げは、20年5月期には6億円と大幅に増加している。

 戦略倉庫の事業が生まれた背景には、17年に立ち上げて1年で撤退した不動産売買情報サイトの反省があった。同業他社のウェブサイトが多数ある中、商品とデザインの差別化で成功を目指したが、「何の感触もなかった」。良いものを作っても伝わらなければ意味がないと、販売促進の難しさを痛感した。

 仙台市青葉区に設けた事業所は道外初進出となった。戦略倉庫の売り上げが軌道に乗ったことで「外に持って行くだけの価値のある事業を作りたいと思っていた。これだったら通用する」と考え、決断した。新型コロナの感染拡大で現地に行くことは控えているが、宮城県内でテレビCMやウェブ広告といった営業活動を進めている。

 仙台を足掛かりに30年までに東京、大阪、名古屋、福岡に出店するという目標を掲げる。「全国主要都市に出店することは父が描いた夢だった」。北海道から全国へ、父の夢の実現に一歩を踏み出した。

(経済産業部 武山勝宣)

内池建設
 本社・室蘭市本輪西町1丁目5の10、創業1980年、資本金1億円、社員数45人

内池秀敏(うちいけ・ひでとし)
 1976年10月11日生まれ、室蘭市出身。東京電機大建築学科卒業後、ナショナル住宅産業(現パナソニックホームズ)を経て2005年に内池建設に入社。07年から現職。

(北海道建設新聞2020年6月3日付3面より)


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