明日を見いだす 建設業若手経営者の挑戦

 建設業で30代、40代の経営者が続々と登場している。

 足元では少子高齢化、ITの発展で社会が大きく変化する中、コロナショックの発生で経済は混乱のさなかにある。不透明感を増す新時代を担う経営者たちは、これまでどう歩み、これから何を目指すのか。

 北海道建設新聞は、北海道経営未来塾(長内順一塾長)の協力を得て、同塾で学んだ建設業の若手経営者7人を取材した。連載で紹介する。

明日を見いだす 建設業若手経営者の挑戦(5)西條産業 西條公敏常務

2020年06月14日 12時00分

木材が軸 小樽に笑顔を 70年の歴史と新しい風の融合図る

西條公敏常務(35)

 前職はミュージシャン。中学校で音楽活動を始め、小樽潮陵高を卒業後、東京の大学に進んだ。精力的な活動が目に留まり、在学中に音楽事務所に所属した。卒業後、一度は不動産業者に就職したが、夢を捨てきれず、25歳で転職。音楽活動を再開し、昼は仕事、夜はライブの毎日を過ごした。CDが全国販売され、自身がパーソナリティーを務めるラジオ番組が始まるなど、順調に活動を続ける中、30歳になった2015年、東京での生活に別れを告げ、故郷の小樽に戻った。

 誘ったのは父・文雪社長だった。28歳の時、ラジオ番組のスタートが決まり、音楽活動にも手応えを感じていた。兄も自分も後を継がないことを、父や祖父に申し訳なく感じていた中、還暦になった父の後ろ姿が直接的なきっかけになった。「自分にとっての幸せは、自分が創った音楽を大勢の人に聴いてもらうこと。それならば東京でなくてもできる」。父に音楽活動は続けることを告げ、常務取締役として西條産業に入社した。

 同社は、ことし創業70周年を迎える老舗企業。建設資材の卸売をはじめ、一般建築や木造住宅の建築・リフォームなども手掛け、同社でマイホームを購入した市民も多い。入社後は、総務部を除く3部署に1年ずつ所属した。業務への理解を深める一方で、常務取締役という肩書にギャップを感じる自分もいた。

 自身の変化と覚悟が必要だと思い、19年度から小樽商大大学院で経営管理修士資格(MBA)の取得に挑戦。また、若手経営者らが集まる北海道経営未来塾に通い、多くの刺激を受けながら自身が求める経営論を探った。その結論は「父や祖父はカリスマのような存在だが、自分はそうではない。自分はチーム全体のシナジーを高め、組織力で堂々と戦いたい」。好きな音楽も部活動のサッカーも、いつもチームで乗り越え、喜びを分かち合ってきた。そんな経験が経営論にも反映された。

 19年12月に第1回小樽雪花火が開催された。05―11年の7年間、毎年クリスマスイブに開催していた人気花火大会の復活。同じ若手経営者らと、青春時代の思い出のイベントをよみがえらせ、その実行委員長を務めた。「東京の足立区で見た音楽とシンクロする花火大会。これをいつか小樽でもやりたいと思っていた」。市内経済団体で要職に就き、地域発展を担ってきた先代のDNAは、しっかりと引き継がれている。

 創業70周年に当たり、100年企業を目標とした中長期ビジョンの策定を任された。キーワードは「原点回帰」。木材を軸に、チャレンジ精神をもってチームで信頼を積み重ねてきた。「この仕事の最大の魅力は、お客さまの笑顔と、街のシンボルの建築に携われること。長年、弊社が大切に守ってきたものに、新しい考えをうまく融合させながら、進化を続け、次のお客さまの喜びにつなげる。そんなビジョンにしたい」。立つステージは変わったが、求めるものは今も変わらない。

(小樽支社・小田真沙樹)

西條産業
 本社・小樽市有幌町2の16。1950年設立。資本金4800万円。従業員数89人(グループ含む)。

西條公敏(さいじょう・きみとし)
 1984年9月9日、小樽市生まれ。青山学院大卒業後、フージャースコーポレーション(東京)を経て、2015年から現職。

(北海道建設新聞2020年6月5日付3面より)


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