コラム「透視図」

2人でゴルフを

2017年02月14日 09時19分

 ゴルフを題材にしたアメリカンジョークにこんな話がある。トムとジョンは勝った方がランチをおごると約束した。わずかにリードしたまま最終ホールを迎えたトムがここでミスショット。ボールは林に飛び込んだ。2人で探すが見つからない

 ▼トムはこっそりポケットからボールを落として叫んだ。「ごめん、木に当たってフェアウェイに戻ってた」。ジョンも叫び返した。「うそだ、俺が足の下で隠してたのに」。まあ、どっちもどっち意地汚いというお粗末な話。ところでこちらは同じゴルフでも、随分と趣が違ったようだ。安倍首相とドナルド・トランプ米国大統領が、2人で回ったゴルフのことである。10日のホワイトハウスでの日米首脳会談翌日、両首脳はフロリダでゴルフを共にしたのだという

 ▼報道陣を完全に締め出して行われたため当日の状況などは分からないが、その後の表情から察するに、友好ムードを壊すようなことはなかったらしい。トランプ氏の別荘で、豪華な食事も楽しんだと聞く。会談自体が大方の予想を覆すものだった。氏は両国の「自由で公平」な通商取引を歓迎し、さらに日米安保について「日本の国民が米軍駐留を受け入れてくれていることに感謝」とまで述べたのである

 ▼何か話がうますぎる気もするが、ここはひとまず信頼関係ができたと素直に喜んでおくべきなのだろう。ただ強引な交渉を得意とする人だ。ボールをラフに打ち込んでおいて、「これはフェアだ。シンゾウ、君もそう思うだろう。仲間だからな」なんて言い出さないか、心配の種は尽きない。


ながらスマホ

2017年02月11日 09時30分

 剣豪宮本武蔵は兵法の極意を記した『五輪書』で、「兵法の目付(めつけ)」について触れている。戦いに臨んだときの目の配り方、と言えば分かりやすいだろう。武蔵はこう説く。「遠き所を近く見、近き所を遠く見る事、兵法の専也」

 ▼戦いで勝ちを得るためには、目の前のことにばかりとらわれず、広く状況を把握することが大事だというのである。相手の太刀にだけ気を取られていては負けること必定らしい。戦いに限らず、日常生活を送る上でも役に立つ教えではないか。例えば今や身近な道具となったスマートフォン(スマホ)である。操作に気を取られて事故を起こしたり、遭ったりするケースが後を絶たない

 ▼つい先日も埼玉で、スマホを見ていて赤信号に気付かなかった男が、他の車に衝突したはずみで歩道を歩いていた母子をはねる事故があった。とっさにかばったのだろう、2歳の子どもは幸い軽傷だったが母親は亡くなった。理不尽で痛ましい事故に言葉を失った人も多かったに違いない。6日には神奈川の中学校で、「自撮り」をしていた生徒が誤って屋上から転落して死亡した。観光客が鉄道で「自撮り棒」を電線に近付け、感電する事故も度々起こっているらしい。スマホに集中すると周りが見えなくなる証拠である

 ▼武蔵は目付の習得には「能々吟味あるべき」-十分修練を積まねばものにできない、と断言していた。普通の人間がスマホを見ながら周りにも目を配ることなど不可能というわけだ。ながらスマホは最初から負け戦だと、よくよく肝に銘じるべきだろう。


江戸城の最古級平面図発見

2017年02月10日 09時27分

 落語家は噺の途中に本筋と直接関係ない小話や決めぜりふを入れることがよくある。はまれば観客は盛り上がり、話す方にも勢いがつくからだろう。桂枝雀の「すびばせんね」には何度も笑わされた

 ▼「道灌」の落語にはこんな小話が挟まれるそうだ。太田道灌が徳川家康に城を売ったと聞いた人がこう言った。「それなら随分と買いたたかれたでしょう」。一体どうして、と尋ねると、「だってイエヤスですから」。家康の居城江戸城の起こりが、扇谷上杉家の重臣太田道灌の築城だったとの史実を踏まえての小話というわけ。家康は開府直後から江戸城の大規模改築、いわゆる天下普請を始めている。まだ権勢を保っていた豊臣家との戦いに備えると同時に、工事費用を出させて諸大名の力を抑えるためだったと聞く

 ▼その築城当時の貴重な資料が松江市で見つかったそうだ。同市が8日発表したところによると、それは「江戸始図」と記された、江戸城を描いた現存する絵図の中でも最古級の平面図だという。絵図が詳細なことで新たな発見もあったようだ。大小の天守が連続する「連立式天守」だったことや、出入り口の壁を複雑に入り組ませて敵の一斉侵入を防ぐ「5連続外枡形」構造にしていたことである。どうやらこれまで知られていた以上に堅固なとりでだったらしい

 ▼時代劇の大道具さんも新たなセット作りに腕が鳴るのではないか。何せ天守群は姫路城と同様の壮麗な形式だったことが裏付けられたのである。落語の舞台である江戸の街から見上げた姿も見事なものだったに違いない。


PKOの日報

2017年02月09日 09時47分

 お子さんのいる方なら、ああそんなこともあったねとほほ笑ましく思い出されるのではないか。親が見ていない間に、幼児が物を壊してしまったときのことである

 ▼それと気付いて子どもをただすと、自分は知らないとの返事。証拠隠滅が中途半端なため誰の仕業かは見え見えなのだが、正直に言えば叱られると思うのだろう、何とかうそをつき通そうと頑張る。その後は怒ったり泣いたり諭したりとしばらく大騒ぎ。幼児のことゆえ、うそといってもさほどの罪はない。親にしてみればかわいくて笑ってしまうくらいの話だろう。ところで、国連平和維持活動(PKO)に関するおとといの防衛省発表を聞いて、多くの人が思ったのはこういうことでないか。「子どもじゃないんだから」

 ▼これまで廃棄したと説明していた南スーダン派遣中の陸上自衛隊部隊が作成した日報について、実は保管されていたことが分かったというのである。問い詰められるのが嫌で、うそをついて隠そうとしていたとしか思えない。日報に「戦闘」の文字が幾つも並んでいるのが都合悪かったのかもしれぬ。戦況によっては参加原則を満たせなくなり、撤退論も再燃しかねない。きのうの国会での稲田防衛相の「戦闘」解釈も神学論争に近く、要領を得なかった

 ▼現在の世は高度情報社会である。1カ所だけふたをして隠し通せるわけもない。今やPKOは多くの国民が支持し、自衛隊員は国際貢献のため不慣れな国で奮闘している。そこにうそやごまかしがあってはいけない。透明性を確保し堂々と派遣するのが筋だろう。


シロアリ被害

2017年02月08日 09時32分

 家屋の敵といえば地震、火事から始まって湿気、経年劣化といろいろあるが、シロアリを思い浮かべる人も中にはいるのでないか。構造材を食い荒らし木造住宅の寿命を縮めてしまう怖いやつである

 ▼家の中で一匹見掛けたとすると、万単位の個体がどこかに隠れている可能性があるらしい。気付いたときには既に、見えない所に大きなシロアリ社会が出来上がっていてせっせと破壊工作にいそしんでいるというわけ。官僚をそのシロアリに例えて批判する論法がひところはやった。一面的な見方のようでこれまでは少々違和感も覚えていたが、今回の場合はまさにその表現がぴったりと言うほかない。文部科学省の天下り問題のことである

 ▼松野文科相が6日に公表した内部調査経過報告によると、天下りのあっせんを安定して継続させるため、同省主導で新たな一般社団法人まで設立していたという。その費用の一部は補助金を受けている他の関連団体が出していたそうだ。なかなか巧妙な仕組みを考えたもの。シロアリたちは2009年の天下り規制強化をきっかけに、隠れて着々と巣を作り続けていたようだ。再就職自体は悪いことではない。ただ天下りは退職金渡り鳥を生み、民間を締め付ける道具にもなる。だからこそ規制法ができたのだろう

 ▼きのうの国会で、あっせんしていた法人は解散するとの答弁もあったが、それで文科省の組織的な法令違反が白紙に戻るわけではない。家全体に広がったシロアリを駆除するのは難しいというから、文科省も一度解体するくらいの覚悟が必要だろう。


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