先の日曜日に気になるニュースがあったため、事態の動きを注視していた。胆振東部地震による大規模停電で多大な損害を出したコープさっぽろが、北海道電力に賠償請求する方針を固めたと北海道新聞が伝えた件である
▼正直なところ記事を読んでまず感じたのは、「自然災害で賠償請求とは」との違和感だった。ところが同日、コープはHPで「記事の内容は事実と異なる」と発表。道新に強く抗議したのである。この発表でコープは当該記事を「センセーショナルな書き方」で「甚だ遺憾」とし、北電に法的措置を取る考えはないと否定した。ただ奇妙なことにコープは9日、道新のくだりをすっぱり削って文書を差し替えている。はて、振り上げたこぶしは一体どこに消えたのか。きのう付の道新にも訂正はなかった
▼差し替えられた文書にも経緯の説明がないため真相は分からない。組合員含めキツネにつままれた気分の人も多いのでないか。コープの姿勢が問われる部分だけに、事実を知りたいものだ。その姿勢で釈然としないのが道新の7日付記事でコープ関係者が語ったとされる「停電は人災」「大規模電力を一極集中させた」との言葉だった。地震は天災で一極集中も泊原発が動いていない中での苦肉の策と道民は理解していよう
▼北電はよく頑張ったとする声の方が大きいのでないか。実際、9日の電力広域的運営推進機関第2回検証委員会でも、手順は適切だったと評価された。どうやら停電には、暗闇を招くと同時にこれまで見えなかった社会の実相を浮かび上がらせる力があるらしい。