好む好まざるとに関わらず、一度聴いたら頭から離れない歌謡曲がある。さくらと一郎の『昭和枯れすすき』(山田孝雄作詞)もその一つではないか
▼1番はよくご存じと思うが2番はこんな歌詞だった。「ふまれても/耐えた/そう/傷つきながら/淋しさを/かみしめ/夢を持とうと/話した/しあわせなんか/望まぬが/人並みでいたい/流れ星見つめ/二人は枯れすすき」。鬼気迫る歌声が今も頭の中に響く。この二人を枯れすすきというつもりはないのだが、歌詞がぴったりくるのでつい連想してしまった次第。民進党代表戦に立候補している前原誠司、枝野幸男両氏のことである。民主党政権が陥落して以来、耐え、傷つきながらも政権奪還の夢を話し合ってきただろう
▼ついでに言うと両氏は、この歌の底にある悲愴(ひそう)感と似たような雰囲気を常に漂わせている印象がある。ただの気のせいなのか。もっとも、世論調査で支持率はいつも1桁、離党も相次ぐ今の状況では笑ってもいられまい。民主党政権で閣僚を務めた仲とはいえ、両氏の考え方には開きもあるようだ。主な違いは消費税増税と憲法改正論議、共産党との共闘の3点だろう。前原氏が増税と憲法論議に積極的なのに対し枝野氏は消極的。また前原氏が共闘を見直す考えを表明する一方、枝野氏は前向きの姿勢を崩していない
▼さて議員と党員、サポーターはどう評価するのか。ちなみに応援する国会議員は前原氏側が高木義明元文科相、枝野氏側が菅直人元首相らだという。やはり枯れすすき…、でないと思いたいのだが。