コラム「透視図」 - 北海道建設新聞社 - e-kensin - Page 282

九州北部で異常な雨

2017年07月07日 09時33分

 今週月曜、この夏初めて冷やしラーメンがわが家の食卓に上った。キリリと冷えた黄色の麺を、細切りのキュウリや錦糸卵と共に酸味の効いたたれでいただくと、「あー、もうそんな時期か」と夏を実感させられる。冬の鍋物もそうだが、季節を連れてくる食べ物というのはあるものだ

 ▼ちなみに「冷やしラーメン」と呼ぶのは北海道だけ。本州以南は「冷やし中華」が一般的らしい。具材も地域で違いがあるようだ。冷やし中華は昭和10年代に仙台の中華料理店で考案されたものが発祥という。その後、夏場のラーメン需要落ち込みに悩んでいた業界が普及に努めたのだとか。日本で初めて「冷しラーメンスープ」を発売したベル食品(札幌)の「50年のあゆみ」に教えられた

 ▼きょうは「小暑」である。本道もしばらく気温の高い日が続く。暑さに負けると食欲は落ちるが食べずにいると体力も落ちる。水気をたっぷり含んだ冷やしラーメンなら無理なく食べられよう。業界の回し者ではないが、お薦めしたい。さて、のんきな話は置いておくとして、夏といえば昨年相次いで本道を襲った台風のことを思い出す。折しも今、九州北部が台風に乱された梅雨前線の影響で豪雨に見舞われている。人ごとでない

 ▼「地震来て台風も来て一人かな」棚橋ちゑ子。地元の方々は不安を募らせていよう。被害は拡大する一方だ。本道もだが復旧もまた難事である。しかも九州は当分、真夏日が続く。食欲が出なくてもせめて食べやすいものを口にし体力を付けてこの困難を乗り切ってほしい。そう願うばかりである。


火星14

2017年07月06日 09時20分

 「あなたにとって大切な日はいつですか?」。そう質問されたら皆さんは何と答えるだろう。すぐに思い付くのは誕生日。一番多い答えかもしれない。他にも夫婦なら結婚記念日、社長なら会社創立記念日と人それぞれ自分なりの「大切な日」があるのではないか

 ▼「サラリーマン川柳」(第一生命)の名作に「記念日に『今日は何の日?』『燃えるゴミ!!』」との句があったが、それも確かに大切な日には違いない。米国民にとって「大切な日」といえば、7月4日の「独立記念日」だろう。旧世界のくびきを外して歩み出した、いわば国の誕生日。米国の基層にある「自由」の価値観を象徴する日というわけだ

 ▼よりにもよって北朝鮮は、大陸間弾道ミサイル(ICBM)と称する「火星14」の初めての発射実験をその日にぶつけてきた。しかも金正恩朝鮮労働委員長は現地視察し、このICBMは米独立記念日の贈り物との趣旨の発言までしたそうだ。複数のメディアが伝えていた。あからさまな脅しである。日本や韓国など近隣諸国を含めた国際社会は懸念を深めているが、「自由」の理念を踏みにじられた米国民はそれ以上に憤りを感じているのではないか。つい最近、北朝鮮に拘束されていた米大学生が意識不明のまま返され、その後亡くなった事件があったばかりである

 ▼結婚記念日を忘れた夫が妻から責められるのはよく聞く話。これが分かっていてあえて無視したのなら関係悪化は避けられない。では、わざと嫌がらせをした北朝鮮との関係は―。米国だけではない。世界がそれを見ていた。


ニセコの土地大人気

2017年07月05日 09時30分

 50年ほど前の話である。祖母が山を買ったというので、親族皆タケノコ採りをすることになり、小学生だった筆者も付いて行った。裏山に毛の生えたくらいのさほど大きくもない山だったが、タケノコは豊富にあったと記憶している

 ▼ところが大収穫に満足して帰ってきてから、祖母の言葉に皆驚かされた。山の図面を見ながらこう言ったのである。「うちの山は隣だったみたいだわ」。昔のことゆえお許し願いたい。祖母は既に亡くなり、その後、山がどうなったかは親族誰も知らないそうだ。「売ってしまったといつだか聞いた気もするが」程度。もともと高い買い物でもなかったらしい。持ち主不明の土地の総面積が九州より広い約410万haもあることが分かったとの報に触れ、そのことを思い出した

 ▼狭い日本にこれほど素性知れずの土地があるとは信じ難いが事実だそう。所有者不明土地問題研究会(座長・増田寛也元総務相)が先頃、国交省の地籍調査から計算した結果、そんな推計が出たのだとか。相続登記が行われていない例が多いようで、背景には土地の資産価値減少があるという。大した価値もないのに管理費や税金はかかるとなれば知らぬふりをしたくもなろう。祖母の山も今頃、「九州」の一部になっているかもしれぬ

 ▼札幌国税局がおととい発表した路線価で、ニセコ地区が3年連続して全国一の伸び率になったそうだ。最近は中国系の投資家が土地取得に積極的らしい。人気が上がるのもいいが、将来持ち主不明の土地があふれることにならないか、気になるところではある。


東京都議選終わる

2017年07月04日 09時53分

 今の心境は、関ヶ原の戦いで勝ちを収めた東軍の総大将徳川家康と同じではないか。胸中には喜びと安堵(あんど)共にありといったところだろう。小池百合子東京都知事のことである

 ▼2日の都議選で自身率いる「都民ファーストの会」が旧体制側の西軍ならぬ自民党を打ち破り、大躍進を果たした。定数127のうち「都民ファ」が55、公明含む知事支持勢力全体では過半数を楽々上回る79というから大したもの。それにしても小池知事は今回もなかなかの策士ぶりを見せつけた。短期間で立候補者を多く擁立するのにいわゆる「小池塾」を開いたのもそうだし、告示直前に「築地は守る、豊洲を生かす」とのうたい文句で、決断力と問題解決能力の高さを演出した作戦も見事だった

 ▼家康張りの古だぬきと言っては失礼かもしれないが、自民党で鍛えられ、大臣としても活躍した経験が存分に生かされているに違いない。また運とはそういうものか稲田防衛相の失言、豊田議員の暴言といった敵失も相次いだ。今都議選が自民党都連のお手盛り体質からの脱却を目指していたことを考えれば、「都民ファ」の議席のうち39が新人、18が女性というのは新風を期待するに十分。まあ大コケする危険もあるが

 ▼ただ気になるのは外野の動き。自民党大敗を錦の御旗に安倍政権を打倒しようとの動きが出始めているがいかがなものか。政権には緩みやおごりがあり批判を受けるのも当然だが、国民が都民に政権選択を依頼したわけではない。都議選は天下分け目でなく、都下分け目の戦いにすぎないのである。


第90回全国安全週間

2017年07月01日 09時20分

 「全国安全週間」がきょう1日から始まる。ことしで90回目を迎えるそうだ。人命尊重の理念の下に安全意識の高揚を図ってきた息の長い取り組みだが、この活動が着実に日本の安全レベルを引き上げてきたことは間違いない

 ▼本紙もこれに呼応して毎年、〈建設安全標語コンクール〉を実施。微力ながら建設産業界の安全職場実現を手伝ってきた。「見逃すな 見慣れた場所に 潜む危険」が本年度最優秀作である。36回目のことし、本紙コンクールには233点の応募があった。安全意識の高さの表れだろう。入選しなかった作品の中にも優れた標語はたくさんある。幾つか紹介したい

 ▼「目視 指差し こころざし 安全職場の第一歩」。安全行動を駆動する燃料は絶対に事故を起こさないとの決意だと気付かせてくれる。「おかしいな 思った時にすぐ改善 異常の放置は危険の放置」。人の命に関わると思えば後回しになどできないはず。「聞こえたか 命を守るロック音」。常に現場に響かせてほしい。「いつもこの道通る道 馴れてる道こそ安全運転」。きょうは何事もなくとも、あすは子どもが飛び出してくるかもしれない。「安全は 人にたよるな!まかせるな! 点検管理は自分から」。懸かっているのが自分と仲間の命だと知れば、横着はしていられない

 ▼「溜めないで! 疲れとストレス事故の元」。ためていいのはお金と信用。それには心も体も健康でないと。さて、個別の注意喚起も重要だが、こんな大きな見方も忘れないで。「気を抜くな 『ただいま』言うまで 作業中」。


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