米人気ポップ歌手ブリトニー・スピアーズさんが2008年から13年もの間、成年後見制度で実父に生活を管理されていたニュースには驚かされた。ブリトニーさんは現在39歳である
▼違法な薬物の乱用、破天荒な生活、暴力行為など精神的に不安定で危険な状態にあることがその理由らしい。本人が6月に法廷で、ほとんどの自由を奪われているとして実父の後見人解任を訴え、広く世間に知られるところとなった。一挙手一投足を監視され、好きなこともできないとなれば絡みつく縄を振りほどきたくもなろう。それぞれに言い分はあるようだが、ブリトニーさんの身から出たさびであることは間違いなさそうだ
▼システム障害が相次ぐみずほ銀行と持ち株会社のみずほフィナンシャルグループに対し、金融庁が異例の直接管理に乗り出すと聞き、ブリトニーさんの騒動を思い出した。こちらもあまりに不安定で危険な状態が続くため、いわば後見的な制度を適用することにしたのだろう。情けない話でないか。民間銀行は信用が第一。1年に何度もトラブルを繰り返すなど前代未聞である。ATMの不具合からインターネットバンキングの障害、果ては店舗窓口の取引停止まで。もう三度を超えたから顧客も仏の顔はしていまい▼金融庁もみずほを一人前とは認めないと断じたわけだ。放っておけば金融市場に悪影響を及ぼすのだから当然である。民間銀行が当局に首根っこをつかまれ、あれこれ指図されるのは屈辱に違いない。これも身から出たさび。後見人の下でしっかり信頼回復に努めてもらいたい。