ラピダス(本社・東京)による千歳市内での次世代半導体工場新築を巡り、隣接する東胆振管内では期待と不安が錯綜(さくそう)している。人流の形成や経済活性化につながるとの前向きな声が聞こえる一方、経験のない事業内容・規模なだけに戸惑いもうかがえる。苫小牧、厚真、安平、むかわ、白老各市町が参画する周辺自治体連携組織(25日発足予定)で情報収集を図るなど、地道な取り組みが求められる。
ラピダス(本社・東京)の次世代半導体工場新築を巡り、建設地の千歳市周辺自治体によるネットワーク組織が25日にも発足する。石狩と空知、胆振管内の自治体が参画する見通し。3月に立ち上がった北海道次世代半導体産業立地推進連携会議の下部組織として位置付け、ラピダスの計画や工場建設に関連する各市町村の情報を共有。次世代半導体製造拠点の実現に向けて連携を密にする。
北海道建設業協会の栗田悟副会長らは5月25―27日の3日間、熊本県菊陽町内で進む台湾の半導体メーカー、TSMCの工場建設現場を視察した。千歳市内で進むラピダス(本社・東京)の次世代半導体製造拠点建設による道内建設業への影響を推定するのが目的。栗田副会長は「作業員は全て県外から賄われていたが、生コンは県内から調達していた。周辺の公共事業はすぐには始まらないようだ」と現状を話した。
十勝の経済界は、ラピダス(本社・東京)の次世代半導体工場建設による技術者流出を危惧している。帯広商工会議所の三井真専務理事は、6月27日の定例会見で「進出自体は本道にとって前向きなニュース。ただ、その悪影響を受けないよう準備する必要がある」と指摘。建設技能労働者の流出に関する調査を進めている。これまでも札幌圏域の大型工事に引き抜かれるケースがあり、人手不足が加速する可能性は高い。経済界は危機感を募らせる。