「農業ICT化」と「健康」軸に
空知管内最大の都市・岩見沢。20年も前から主要産業である農業のICT化に取り組むだけではなく、全国の自治体として初めて健康経営都市宣言の認定を受けるなど、将来を見据え「農業」と「健康」を軸にしたまちづくりを進めている。
―岩見沢の特徴は。
面積の4割を農地が占めており、米や麦、タマネギを栽培する土地利用型農業が主要産業。特徴は光ファイバーやGPS、気象観測などICT基盤が整っていることで、ここ20年は農業のICT化に力を入れている。
―まちの課題は何か。
やはり人口減少だ。解消に向け、これまで取り組んでこなかった移住などの助成に乗り出したほか、子育て世代への支援として中心部に遊びの広場を作ったところ。
―地域活性化に向けた対策は。
昨年6月に健康経営都市宣言の認定を受けた。市民や行政、企業、団体などが一体となり市民の健康づくりを推進していくものだが、これに「農業」「食」を組み合わせて市民の生活の質を向上させ、相乗効果を持たせていきたいと考えている。2017年度予算では、経済を好循環させるため、普通建設事業費に110億円を計上した。これからのまちの未来に必要な事業をやっていきたい。
―今後のまちづくりの展望は。
岩見沢には日本一と言えるものが2つある。1つは農業のICT化。市内には高精度測位情報RTK―GPSの基地局が、大願、上幌向、栗沢の3カ所にあり、この位置情報を利用すると測位精度が誤差2―3cmとなるなど、トラクターの自動運転もほぼ正確になる。
また、市内に13カ所ある気象観測装置のデータを基に、50m四方ごとの収量や病害発生を予測して情報提供する農業気象サービスも実施している。
2つ目は、北海道大学COI「食と健康の達人」拠点となっていることだ。この取り組みにより、全ての世代が健康で豊かな生活を送れるような新たな地域づくりができる。
今後は、こうした事業のほか、ビジネス創出にも力を入れていきたい。機能を中心市街地に集中させ、人もまちも元気で健康になるような取り組みを進め、〝選ばれるまち〟にしていければ。
24の自治体で構成される空知地域。それぞれの自治体のまちづくりの取り組みを紹介する。
松野 哲(まつの・さとる)三笠市出身、1956年5月4日生まれ。初当選は2012年で現在2期目。2017年5月24日付掲載