酒宴が盛り上がって、ついつい杯が進みます。相当に酔っぱらってご帰宅。はっと気が付くと、朝になっています。幸い布団のなかでちゃんと寝てはいるのですが、どうやって帰ってきたのか、どうやって布団に入ったのか、記憶がまだらで、はっきりしません。
大いに反省して、起き上がろうとすると、気持ちが悪い。頭を上げようとすると、頭痛がして、めまいもある。完全な二日酔いです。さて、出勤できるのか?おおいに悩むところでしょうか。
二日酔いの原因は三つあるといわれています。一つは、体内にまだアルコールが残っている状態。つまりまだ酔っているというものです。この場合は意外と頭痛や吐き気は出なくて、体がふわふわして、顔がまだ赤いという状態です。比較的お酒に強い人がなりやすいタイプです。
もう一つは、おおむね体内からアルコールは抜けているのだけれど、アルコールが分解される途中で生じるアセトアルデヒドという物質が、まだ体内に大量に残っている状態です。
お酒を飲むとすぐに顔が赤くなるタイプの人の二日酔いはこちらが多いようです。このアセトアルデヒドは、体に対して悪さをします。血管を拡張するので、顔は赤いままなのですが、血圧も下がり気味になるので、頭を上げると、頭から血が下がってしまい、めまいがします。このめまいが吐き気を引き起こします。
血管拡張が強すぎると、それが原因で頭痛がおこります。また、アセトアルデヒドは脳に作用して、軽いうつ状態を作るといわれています。二日酔いで気分が下がるのは、このためといわれています。
三つ目は、脱水です。お酒を飲むと、アルコールの作用で、普段より多くのおしっこが出てしまいます。そこで給水をしないと、体全体で水分不足となり、そのために血圧が下がって、起きられなくなってしまうのです。たいていの二日酔いは、アセトアルデヒドの作用と脱水が重なって起こっているようです。
さて、二日酔いを防止するにはどうしたらよいでしょうか。それは何としても寝る前に水を飲むことです。できればコップ二杯ぐらい。そうすれば、脱水は防げるし、翌朝出るたくさんのおしっこのおかげで、アセトアルデヒドの抜けもよくなるはずです。どんなに酔っていても、寝る前に命の水、お忘れなく。
(札医大医学部教授・當瀬規嗣)