将来は本社敷地に集成材工場
ハルキ(本社・森)は、製材、プレカット加工、集成材製造の3事業を展開する道内唯一の会社。春木真一社長(45)は「地場で生産されるトドマツ、スギ、カラマツで使って建築に必要となる製品全てを作れるのが、当社の強み」と胸を張る。集成材工場の本社敷地内への移設など将来を見据えた投資計画も打ち出し、着実に歩みを進める。
秀峰駒ケ岳を敷地内から間近に望める同社は、祖父の芳松さんが1960年に春木製材所として森町森川町で創業。85年に現在の姫川に移転している。89年、有限会社として法人化。96年にはプレカット工場を新設し、事業を広げてきた。2000年、現社名への変更に合わせて株式会社とした。
77年2月生まれの春木社長は、函館高専を4年で中退した後、札幌の専門学校に通い、CADオペレーターの資格を取得。98年に入社した。「会社を継いでほしいという話を父(現会長の芳則氏)からされたことは一度もなかったが、当時はプレカットを始めたばかりのころで、会社の役に立ちたいという気持ちが強くなっていた」と振り返る。
受注拡大に向け、05年に開設した札幌営業所では「右も左も分からない中、一人でプレカット材の営業に回った」。当時の営業エリアは道南が中心で「工場をフルに稼働させるには受注を増やすしかなかった」と話す。今では顧客の7割から8割を札幌圏が占めるという。
プレカット第2工場、第2製材工場、加工工場といった設備の増強、生産拡大に合わせて土地を買い増しし、敷地面積は当初の1haから17haに広がった。13年にはソーラー発電を始め、製品の加工時に出る端材などを用いた木質バイオマスボイラも稼働した。17年に八雲の集成材工場を取得し、生産を開始。3つの木材事業を総合的に担う体制を構築した。
芳則氏から引き継ぎ、社長に就任したのが19年5月。会社の「発展期」と位置付ける中、特に力を入れるのが道産材3樹種の活用だ。輸入原木の受け入れをやめて道産材にシフト。同社から半径100㌔圏内から原木を集める。「トドマツはホワイトウッドに引けを取らない品質のものを生産できる。スギを使った内装材、外装材も評価をいただき、全国に販売させてもらっている」と力を込める。
道産材にこだわる根っこには、地域振興への強い思いがある。「木を植えて、育てて、切るまで約50年。木材業界はそういうもの。次世代を担う子どもたちのために、ずっと働ける環境を地域に残すのが、われわれの使命」。道が展開する「木育(もくいく)」プロジェクトにも参画し、子どもたちが木に触れ合い、学べるイベントを毎年実施する。
21年度の売り上げは31億5000万円。「建築材に関しては道内で一番多く生産している」という。今春、第4製材工場が本格稼働し、さらなる増産体制を整えた。4年後をめどとする集成材工場の本社敷地内への移設も順調に準備が進む。「実現すると、3事業を同一敷地内で進める全国初の会社となる。輸送コストの軽減効果も大きいが、工場内で出る副産物の出し入れなど全てを合理化できる」と先を見据える。