工務店が地元のにぎわい創出
住計画FURUTA(本社・帯広)は1964年の創業以来、地域に根ざした工務店として木造の家づくりに励む。古田義貴社長は「昔の大工が仕事で地域を盛り上げたように、工務店が地元のにぎわいをつくる存在になるべき」と説く。4月には新事業として帯広市内の敷地4379m²に国内最大級のサウナ拠点「5737コンナサウナ」をオープンする予定。移住者を獲得し、将来は道内の中小工務店にノウハウを伝えて過疎地を活性化する夢を抱く。

コンテナ型サウナの試作品
大工だった祖父から数えて3代目の古田社長。自社のユーチューブチャンネルでは「工務店ユーチューバーフルタ」として物件の紹介や家づくりのポイントだけでなく、自ら十勝の魅力をPRしている。
「家を建てる理由は、賃貸ではできない豊かな暮らしをするためだ」と語る。デザインや断熱性能だけでないこだわりこそ、家づくりの面白さや魅力だ。
サウナがある家もその一つ。ゴルフ好きがレンタルクラブを使わないようにどんな趣味でも好きなら自分の道具を持つ。「温浴施設で入るサウナはいわばレンタル。好きでも家にサウナは作れないと思う人がいるが、当社ならできる。常識を壊したい」と考える。
サウナ拠点は昨今のブームだけでなく、サウナのある暮らしを体験し、自社の仕事につなげる展示場の側面を持たせる。自社製の木造コンテナ型サウナ12基のほか、天然水を使った水風呂や外気浴を楽しむ椅子を用意する。熱源は薪(まき)で、自社工場で出る端材を活用。薪サウナは全国でも珍しく、多くの集客が期待できる。

地元工務店の新たな生き方を語る古田社長
「人口を増やしたい」と声を大にする。住宅専業の工務店は人口減少でこの先も厳しい時代が待っている。人がいないことには家も建たないが、魅力づくりに成功して移住者が増えると、流れが変わるかもしれない。「サウナの本場はフィンランドだが、日本で疑似体験できるのは北海道以外になく、好きな人にはたまらない環境」と指摘。その上で「ブームによりDIYでサウナを自作する人、異業種の参入も増えているが、うちは十勝の家を半世紀以上作っている。工務店の腕があれば、丈夫で暖かいサウナも家もできる」と自負する。
十勝だけでなく、道内過疎地の活性化にも情熱を傾ける。人口減で仕事が減る地方の工務店にノウハウを伝えれば、自社で施工と維持管理ができ、閑散期の雇用確保も実現。サウナがコンテナ型のため、地方の特色を生かした場所に置けば観光の起爆剤になる。
「まずサウナのある暮らしを体験してほしい。一過性のブームから文化に成長し、全国のサウナファンが十勝、北海道に集まれば」と意欲を燃やす。
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