会社探訪記

 地域に根差した企業を不定期で紹介します。

会社探訪記 クレアル工業 タイニーハウスで次の高みへ

2022年11月04日 08時00分

土木は橋梁補修に特化

 クレアル工業(本社・札幌)は建築・土木の専門工事業者。建築は主に躯体の現場溶接に関わり、杭頭補強筋溶接や柱脚基礎アンカーフレーム施工など、構造物の取り合いや工程間の隙間を埋める〝躯体仮設工事〟を主体とする。土木は橋梁補修に特化し、長寿命化に伴うさまざまな工事に対応。最近は東区東雁来にタイニーハウス(小さな家)の展示場を設け、本業の建築・土木に次ぐ新事業として次なる高みを目指している。

 柳下真人社長が2002年4月に創業した。それまで道内の仮設資材商社で15年ほど勤務し、営業職として深く現場に関わる中で「資材を売ったり貸したりするだけではなく、建物づくりのチームの一員として工事自体に携わりたいと思うようになった」と、37歳で独立を決めた。

 〝躯体仮設工事〟は柳下社長が考えた造語。杭頭補強や柱脚アンカーボルト、柱・梁の架台、ラス型枠、ワイヤメッシュなど躯体工に関わるさまざまな補足工事を指す。鉄筋架台やラス型枠などを工場製作し、現場で設置する仕事。多くは躯体が上がるとコンクリート内部や土砂埋め戻しで見えなくなる裏方作業だが、工事の効率化や建物の高品質化には欠かせない工程の一つだ。

躯体仮設工事は工程間の隙間をスムーズに埋める潤滑油のような仕事

 それまで躯体仮設に関わる仕事を専門的に請け負う地場企業は皆無に等しく、〝現場が求めている部分はそこにある〟と考えた。ゼネコンから構造図を提供してもらい、鉄筋や型枠の取り合いを検討しながらアンカー架台やラス型枠を図面化し提案した。そうすると鉄筋工や型枠工から評価され、仕事は少しずつ増えていった。設計構造図には記されないが、工程間の隙間をスムーズに埋める潤滑油のような役割を担うことに手応えを覚えた。

 土木の世界では1995年の阪神淡路大震災をきっかけに、橋梁の耐震補強が大々的に進められるようになった。建築分野で事業の基礎を築いたクレアル工業は第2の柱として、コンクリート表面劣化部を剥離・研創する集塵回収システム「バキュームブラスト工法」を導入し、橋梁の補修・補強工事を手掛けた。14年に土木ゼネコンから社員を迎い入れて対応範囲を大きく広げ、同時に施工管理もするようになった。

 18年の北海道鍛冶施工協会の設立にも尽力した。現場溶接を担う鍛冶工の専門業者による組織。互いに親睦を深めながら情報の共有や技術の研さんに努め、スポットライトが当たりにくい鍛冶工の入職者向上を狙う。柳下社長は事務局長として会の運営を支える。

 21年10月、東雁来に展示場「タイニーハウス・パーク」を開設した。それぞれにコンセプトを持った、1棟当たり9m²ほどの小さな建物が多数並ぶ。事業化のきっかけは20年3月に丘珠町に完成させた自社社屋の建設。建築要件に制約がある市街化調整区域のためユニット型ハウスを採用し、意匠性を考慮して建設したことがタイニーハウス事業につながったという。

 手掛けるタイニーハウスは宿泊や店舗空間向けのほか、コロナ禍からテレワーク仕様や本格的なサウナ仕様などを用意する。連棟や2階建ても設計できるため、オフィス仕様や企業が社員のために用意するパーソナル休憩仮眠室としてレンタル需要も出ている。

タイニーハウス事業を建築、土木と共に3本目の柱にしたいと話す柳下社長

 アウトドアショップの一角に期間限定出店するなど周知活動に積極的だ。8月には地域住民に向けたイベントを企画し、縁日やキッチンカーを併設するなどしながら27、28の両日で延べ800人が足を運んだ。オープン1周年を記念し、10月29日と30日にハロウィーンイベント開催を予定する。

 柳下社長は「タイニーハウス事業を建築、土木と共に3本目の柱にしたい」と話している。


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