情勢把握し顧客獲得を…
繁忙期の多くは業界ごとにあります。例えば、税理士業界であれば、3月の確定申告の時期は忙しくなりますし、3月決算の会社の税務申告期限である5月末も忙しいものです。社会保険労務士業界であれば、労働保険の年度更新に加え、社会保険の算定基礎届を提出する7月初頭に向けて多忙を極めているように思えます。
「行政書士業界の繁忙期はいつですか」と聞かれることは多いですが、答えるのは難しいです。建設業に従事している顧客が多い行政書士にとっては、顧客の決算に始まり、決算報告、経営事項審査申請の時期に加え、入札参加資格審査の時期が繁忙期となります。3月決算の企業は、やはり多いので、6月ごろから対応に追われ、夏が繁忙期となるでしょう。
一方で、自動車の登録業務に携わることの多い行政書士は、自動車税の発生する4月1日の前が繁忙期となります。
確認したことはありませんが、不動産登記が多い司法書士も、固定資産税の基準日である1月1日の前は繁忙期なのではないかと思います。
このようにカレンダーに合わせた繁忙期がある一方で、ブームによる繁忙というものもあります。士業では、裁判判決や法制度の変更により、短・中期的に業務が増加することがあるのです。
弁護士業界には、過払いバブルというものがありました。いわゆるグレーゾーン金利が違法であるとした判決を経て、消費者金融などに支払っていた利息の一部を返還する請求手続きが注目を集めました。弁護士には過払金請求で多忙を極めていた人がいました。
先日、司法書士試験の受験生と話しました。今後、不動産の相続登記が義務化されるため、不動産登記申請が増える。その前に資格を取得して、スタートダッシュを切れるようにしたいと言っていました。
さて、弊所の繁忙期はいつなのかは、とても困る質問です。補助金申請の支援が中心となる弊所では、繁忙期が複数生じることとなりました。
かつては、年度の終わり頃に翌年度の補助金の概要が公表され、年度が変わると補助金の申請が始まるというルーティーンがありました。申請時期が終了するとゆったりとした時期が続いたものです。しかし、数年前から、年度内に複数回の申請締め切りがある補助金が出てきました。すると、一つの補助金が終われば、次の補助金に向けた準備が始まるという風に、常に締め切りに追われる状態となっています。
繁忙期とは、世の中にその商品やサービスを必要としている人が増える時期です。世の中をよく観察し、どのようなサービスが必要とされているのかを把握し、適切な宣伝により新規顧客を得ることができれば、事業の繁栄の近道なのかもしれません。言うは易し行うは難しです。