特性に合った方法で伝達
先日、SNSでホスト養成塾の動画を見ました。ホストとして売れるために必要な能力の一つに読解力を挙げ、受講生には小学校3年生向けの読解ドリルを解かせていました。今後、ドリルの学年を上げて、能力を向上させていくとのことです。
実際に、受講生の売り上げは増加し、受講生も効果を感じていました。
読解力とは、相手がどのようなことを伝えようとしているのかを理解する力だと、私は理解しています。相手が伝えている言葉そのものを理解するだけではなく、その背景にどのような事情があるのかも想像し、確認して、理解することが必要なのではないでしょうか。
この読解力は、ホストに限らず、どのような職種でも必要な力だと思います。とはいえ、小学生向けの国語のドリルで基礎的な訓練を積むのは、大人にとって恥ずかしいかもしれません。
以前に、従業員に読書を勧めることで、現場でのコミュニケーションが向上し、事故やミスが減少したという建設会社の話を読んだことがあります。意識的な読書にも効果がありそうです。
ところで、最近、認知特性というものが、特に教育の分野で、注目を集めています。認知特性とは、目で見る、耳で聞くなど五感を中心とした感覚器から入ってきたさまざまな情報を、脳の中で「整理」「記憶」「理解」する能力です。
どの感覚からの情報を使用して理解するのが得意かは個人ごとに異なり、大きく分けて3パターンがあると言われています。一つ目は、情報を目で見て処理するのが得意な「視覚優位」です。二つ目は、読んで処理するのが得意な「言語優位」。三つ目は、聞いて処理するのが得意な「聴覚優位」です。
歴史の授業で年号や人物名を覚える方法だったり、数学の公式を覚える方法が、人によって異なっていた経験に覚えはないでしょうか。それはこの認知特性によるものです。
たとえば、視覚優位の方には、口頭で伝えても伝わりづらいですが、図示をすればすぐに伝わります。口頭で伝えるのは、聴覚優位の方に対してにしましょう。同様に、言語優位の方には、文章で示せば伝わりやすいですが、その他の方法ではなかなか伝わりません。
これは業務上の指示にも使える知識です。「何回言っても伝わらない」と嘆きたくなる相手に、文章や図で示すと、すっと伝わることもありえます。能力が足りていなくて理解できなかったのではなく、特性に合わない伝え方をしていたのでした。
相手の言いたいことを理解する読解力に加え、認知特性に合わせた伝え方をすれば、職場のコミュニケーションの環境が飛躍的に向上することもあります。実験結果のご報告、お待ちしております。