都市近郊型農業生かす施策を
“北海道で採れる作物はだいたい長沼で採れる”というほどの農業王国・長沼。新千歳空港から近いといった立地の良さを生かしたまちづくりが花開いている。
―まちの特徴は何か。
耕地面積が1万1200haと、まちの面積の70%に当たる。収益が上がる農業を推進していて、大豆の生産は全国一。札幌や新千歳空港も近く、都市近郊型の農業が盛んで、いち早く直売所を始めるなど常に生産者と消費者が交流し、消費者が望む作物を作っている。
2005年からはグリーンツーリズムにも取り組み、関東や関西から修学旅行生を受け入れている。去年は3000人が訪れ、農家の体験をしてもらったが、ことしは12月に台湾の高校生を受け入れる予定だ。
―地域の課題は。
人口減少、少子高齢化だ。国の地方交付税が減る中、財政は厳しく、地域を存続させるためにも〝もうかる農業〟が重要となる。公共施設の老朽化も課題で、道路や橋梁などを含め30年以上が経過している施設が多い。
長沼は、昨年の長雨でも被害を受けたが、水害が発生する場所で、さらに地震のリスクもある。災害に備える必要があり、ことしは役場にも72時間の電源装置を設置することにしている。
―課題にはどう対応するか。
人口減少に関しては、保育料を国の基準の半分にしたり、医療費を中学3年生まで無料にするといった子育てがしやすい環境づくりを進めている。また、2018年度の建設を計画している児童館は、汎用(はんよう)性を持った施設にしたいと思っている。
町ではことし3月にミサワホームとまちづくり包括連携協定を結んだが、今後も地域の維持、発展に向け、民間の力を借りながら取り組んでいく。
―今後進めるまちづくりの方向は。
やはり土地改良事業が鍵となる。町内で進む国営、道営農業農村整備事業により効率良い作業ができると思うが、長ネギやタマネギ農家から土地改良をやりたいという声が挙がっているので、できれば国営事業をもう1地区やりたい。加えて、少し広めの宅地に田園住宅を建設し、移住・定住に向けた取り組みも始めたいと考えている。
戸川 雅光(とがわ・まさみつ)長沼町出身、1949年1月3日生まれ。初当選は2008年で現在3期目。2017年5月30日付掲載