おとなの養生訓

おとなの養生訓 第16回「趣味の効用」 気分転換、ストレス解放

2013年02月26日 13時31分

 昔のビジネスマンは「無趣味」なんて答える人が多かったものですが、今では、多くのビジネスマンが何かしらの趣味を持っています。では、趣味とはどういうものなのでしょうか。国語辞典をみると、「仕事、職業としてではなく、個人が楽しみとしている事柄」とあります。仕事でないということは、余暇や自由時間に行うことともいえるでしょう。

 でも、人はなぜ、趣味を持つのでしょうか?これには「楽しみ」であるということが重要です。楽しみでないことを趣味にする人はいないはずです。仕事じゃないけど楽しいことだから、続けるというわけです。

 逆に仕事はどういうことか考えて見ます。もちろん、仕事を楽しみだと思っている人も多いと思いますが、「仕事が趣味だ」というのは、辞典の定義から外れることになります。

 仕事は時間的にも、行動的にも多くに制約、強制が伴います。嫌なことでも仕事ならやらなければなりません。同じことを繰り返し行うことも強制されます。でも、そのかわり収入が得られるというわけです。

 つまり、仕事は基本的にストレスであるということです。人は継続的にストレスにさらされ続けると、それを乗り越えるために、ストレスホルモンが体内に分泌され、体の性能を上げ、エネルギーを動員します。

 こうして、大抵のストレスを乗り切るのですが、ストレスが長く続くと、ストレスホルモンを使い切ってしまい、体が急速に疲れ切ってしまいます。体調が悪くなり、精神的にも落ち込んでしまいます。ですから、休みなしで仕事を続けることは、それがどんなに好きなことであっても、体を壊すことになるのです。

 仕事を続けるためには休日が絶対に必要なのです。そして、休日には仕事関係のことをしないことが大切です。そうしないと、ストレスから解放されません。かといって何もしないで過ごすのも難しいわけで、そこで趣味を楽しむことになります。

 趣味による気分転換や、ストレスからの解放に、意義があるのです。とすれば、仕事が趣味というのはあり得ないことになります。また、飲酒が趣味というのも違う気がします。何せ、飲酒は体に対してストレスであることは証明済みだからです。みなさん、「仕事」と「飲酒」以外の趣味を持とうではありませんか。

(札医大医学部教授・當瀬規嗣)


おとなの養生訓 一覧へ戻る

ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • オノデラ
  • web企画
  • 古垣建設

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

おとなの養生訓 第245回 「乳糖不耐症」 原因を...
2023年01月11日 (1,414)
函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想
2021年01月13日 (1,313)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (1,294)
アルファコート、北見駅前にホテル新築 「JRイン」...
2024年04月16日 (1,096)
藻岩高敷地に新設校 27年春開校へ
2022年02月21日 (994)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第258回「体温上昇と発熱」。病気による発熱と熱中症のうつ熱の見分けは困難。医師の判断を仰ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第34回「1日2470個のご飯粒」。食品ロスについて考えてみましょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第32回「読解力と認知特性」。特性に合った方法で伝えれば、コミュニケーション環境が飛躍的に向上するかもしれません。