おとなの養生訓

おとなの養生訓 第20回「においは慣れる」 精神安定に必要なしくみ

2013年04月30日 17時48分

 人は様々な感覚を持っていますが、その多くで「慣れる」という現象が起きます。例えば、冬の寒さでかじかんだ手足のままでお風呂につかると、手足はお湯を熱く感じて、思わず引っ込めたりしています。でもそこを我慢して入っていると、次第にお湯の温度に慣れてきて、丁度いい加減…なんて具合です。

 人の感覚の中で、一番慣れやすいとされているものが、においの感覚、つまり嗅覚です。例えば、尾籠な話で恐縮ですが、他人が用を足したすぐ直後にトイレに入ると、そのにおいに閉口するものです。ところが、その後、自分が用を足しているうちに、そのにおいは次第に気にならなくなってしまいます。トイレに入るという僅かな時間に、においに慣れてしまったからなのです。

 においに慣れやすいというのは、人や動物にとって大事なしくみと考えられます。実は、どんなにきれいな空気の中にも、においを生じる物質が、たくさん含まれています。もし、これらのにおいを常に感じているとすると、その煩わしさで人は落ち着かなく、精神の安定を失うかも知れません。

 でも、慣れてしまえば、そのにおいは存在しないことになります。また、例えば急に危険なガス漏れなどが起こり、新たなにおいが生じたとすると、そのにおいは慣れていないから、素早く感じ取って危険を察知することが出来ます。もし、普段のにおいに慣れてなければ、新たなにおいをかぎ分けることは出来ないかも知れません。

 においに慣れやすいということは、普段から存在するにおいは感じないということです。なので、人は、自分の体臭や口臭を感じないということです。どんなに強烈な口臭も、ご本人は無頓着です。においに慣れるしくみから考えるとやむを得ないことです。なので、周りに迷惑をかけないためには、「自分には口臭がある」ことを前提にして対処するしかありません。

 例えば、喫煙は口腔内を乾燥させ、これが雑菌の増殖を促すので、必ず口臭が生じます。そして缶コーヒーはコーヒーのにおいに加えて、含まれている大量の糖分のせいで雑菌が大繁殖するので、口臭がすごいのです。缶コーヒー飲みながら一服するのが大好きなあなた、間違いなくすごい口臭ですよ、気がつかないだけです…。

(札医大医学部教授・當瀬規嗣)


おとなの養生訓 一覧へ戻る

ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • 川崎建設
  • web企画
  • 日本仮設

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

札幌円山整形外科、病院改築を5月末着工へ🔒
2022年03月14日 (3,569)
函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想
2021年01月13日 (2,747)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (2,328)
モントレ札幌、10月末閉館 新ビル含め利活用検討
2022年08月26日 (2,221)
札幌円山整形外科、隣接地で病院改築🔒
2021年08月02日 (2,123)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓 new

おとなの養生訓
第239回「がんと運動」。1日20分のウォーキングでも、始めたその時から効果が。

連載 宇宙への道
大樹から広がる近未来

宇宙への道 大樹から広がる近未来
LC1射場着工で開かれ始めた宇宙への道。これまでの歩みを振り返りつつ、新時代への課題を探る。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第24回「手描きパースの不思議」。イメージを伝える際に、手描きならではのお得な側面も。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第23回「モヤモヤ課題解決方法」直面した課題を言語化することが、解決への道となります。