おとなの養生訓

おとなの養生訓 第31回「おつまみ」 日本人ならではの発想

2013年10月16日 17時05分

 仕事柄、来日した欧米の方と食事を共にすることがあります。大抵は歓迎の意味で日本料理店に行きます。ワインや日本酒で盛り上がって、我々の常識なら2次会へ、と言うところなのですが、はじめて日本に来た方は、断ってホテルへ戻ってしまいます。

 楽しくなかったとか、そういうことではなく、そもそも2次会という発想が無いのです。日本をよく知っている方は、2次会に招くと、喜んで来てくれます。遅くまで歓楽街で安全にお酒が飲める日本を楽しんでくれます。

 2次会の場所にも当然ながらたくさんの料理が用意されていて結構うまいものが多い。そこで、お酒と一緒に何か軽いものでもと、食べ物を勧めるのですが、彼らはまず手を付けることはありません。

 ひたすらビールやワインを片手に、陽気に話し込んでいます。おつまみは必要がないのです。食事の時にお酒を飲むのは当たり前ですが、食後のお酒に食べ物は不要なのだそうです。

 確かに、アメリカのバーやイギリスのパブでは、みんなひたすらビールを飲みながら話し込んでいますね。食べ物はせいぜいナッツぐらいかな?よく何も食べないでビールを何杯も飲めるものです。

 お酒を飲むために食べ物を添えるのは、日本特有の文化なのかも知れません。日本では2次会の店であまり料理を出さないお店でも、山盛りになったスナック、漬け物など「おつまみ」がでます。食べ物なしで、ひたすらお酒を飲む発想がないのです。日本酒大好きな呑兵衛さんも塩が必要です。

 2次会のお酒は、日本酒だけでなく、ワインやビール、ウィスキー、何でもありです。それで、食べ物なしでお酒を飲み続ける文化がない日本人は、それぞれのお酒に合うおつまみを編み出したのです。それも日本料理にこだわらず、和洋中色々な食材や料理を下地にしておつまみを作ります。

 だいたい、カクテルのみながらたくさんのおつまみを食べるなんて、日本ならではです。日本人の発想力にはいつもながら感服しますし、2次会でも、3次会でも豊富に料理が並ぶ日本は、本当に豊かな国なのだと実感します。

 いま、日本食は「クールジャパン」の一翼を担って世界中で受け入れられています。おつまみも日本食の新しい分野として世界に押し出したら、結構行けるのでは?と思っているのですが。

(札医大医学部教授・當瀬規嗣)


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