おとなの養生訓

おとなの養生訓 第32回「秋の夜長に」 楽しむすべ持つ日本人

2013年10月31日 17時54分

 秋の夕暮れはつるべ落としのごとく、といいます。夕方かなと思ったら、あっという間に辺りが暗くなってしまいます。と言うわけで、秋は夜長になります。その上、冬に向かってだんだん寒くなってくる時期でもありますので、秋の夕暮れは暗さと寒さが一層身にしみます。体調を崩しやすい時期でもあり、そろそろ風邪も流行り出します。

 この秋の夜長は人の精神にも影響を及ぼします。気分は沈みがちになりやすく、消極的な考えが支配的になりやすいと言われます。来るべき厳しい冬の予感に、身を固くして、自分を守ろうとしているのでしょうか。北欧などでは、この時期に精神に変調を来して、うつ病を発症する人が多くなるそうです。

 北欧、とくに北極圏では極端に昼の時間が短くなり、ついには夜が明けなくなってしまうわけですから、精神への影響も強いのでしょう。北欧ほどでないにしろ、日本でも季節性うつ病として、晩秋あたりに調子が悪くなる人がいます。

 しかし、そうした秋の夜長を、明るく乗り越える術を日本人は心得ているようです。特に北海道は、その傾向が強く、秋に色々な行事を行って、みんなで集い、楽しくすごそうとします。農家の方々は収穫が終わって秋祭りや、温泉で疲れを癒す時期だそうですし、会社関係の方には観楓会があります。

 なんでも観楓会は北海道特有の行事だそうで、一応、紅葉を楽しむ会という建前ですが、北海道ではすっかり葉が落ちて、むしろ初雪も?とおもわれる11月ぐらいに行われたりします。つまり、「紅葉より団子?」というわけで、みんなで集まって、楽しくお酒でも飲みながら秋の夜長を過ごそうという算段なのです。

 そういえば、アメリカでは、10月末にハローウィン、11月末に感謝祭と行事が続いて、結構、みんなで楽しんでいます。最近は観楓会が少なくなった北海道ですが、ボージョレヌーボーの解禁日だとかで、11月中旬に大いに盛り上がっていますね。

 これと言った大行事がない11月ですが、いろいろ考えて、楽しく過ごして、沈みがちな気分を吹き飛ばすのは悪くありません。ただ、飲み過ぎると翌朝に気分が沈んでしまうことがあるので、ほどほどに。11月を乗り切れば、忘年会にクリスマスに年の瀬と、自然と心が沸き立つ12月がきますから!

(札医大医学部教授・當瀬規嗣)


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