おとなの養生訓

おとなの養生訓 第33回「ジンギスカン」 脂肪分が便通促す効果

2013年11月12日 11時13分

 北海道と言えばジンギスカン。ジンギスカンブームで全国的にも有名になった名物料理ですが、道産子にとっては「ソウルフード」。花見に、海水浴に、何かにつけて、ジンギスカンを食べるのはあたりまえ。においも気にせずに、居間の食卓で盛大にジンギスカンを楽しむご家庭も多いと思います。

 私が子どもだった頃には、マトンが普通だったので、においは今の比ではありませんでしたが、それでも、肉がたらふく食べられるので、ジンギスカンは楽しいメニューでした。

 においがきつく、肉をたくさん食べるのだから、健康とはほど遠いイメージなのに、ジンギスカンはヘルシーメニューとして有名です。理由は、牛肉や豚肉に比べて、カルニチンが豊富に含まれていることです。

 カルニチンは、元来、私たちの身体に当たり前に存在する物質で、細胞でエネルギーを作り出す小器官であるミトコンドリアで、脂肪からエネルギーを取り出すときに使われます。なので、カルニチンを摂取すれば、脂肪燃焼が進んで太らないはずだから、ヘルシーだという論法です。

 でも、普段の食事をすればカルニチンが不足することはないので、ジンギスカンを食べればやせてくるというものではなく、太りにくいと言う程度のことです。

 それよりも、羊肉の脂肪が固まりやすい性質を持っていることが大事な様です。ジンギスカンのたれに脂肪が白く固まっているのをみると思います。羊肉の脂肪の融点は摂氏44から49度ぐらいと、摂氏37度の人の体温より高いのです。

 ですから、お腹に収まった羊肉の脂肪は固まっていると考えられます。とすれば、羊肉の脂肪は消化吸収がしにくいと推測されます。実際、ジンギスカンを食べると、どうしてもお腹が緩くなる人が多いのですが、消化吸収されなかった脂肪分が便通を促す効果と思われるのです。

 同じ量のお肉を食べたとして、牛肉や豚肉に比べて脂肪の吸収が少ないとすれば、羊肉は太りにくいという理屈は正当かも知れません。

 ただ、ジンギスカンはタレの味が濃いので、ごはんや飲み物がどうしても欲しくなる食べ物です。ジンギスカンはヘルシーでも、ご飯たくさん、ビールを何杯も、と言うのでは、元も子もありませんから、ほどほどに!

(札医大医学部教授・當瀬規嗣)


おとなの養生訓 一覧へ戻る

ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • 北海道水替事業協同組合
  • 日本仮設
  • オノデラ

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

おとなの養生訓 第245回 「乳糖不耐症」 原因を...
2023年01月11日 (1,401)
函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想
2021年01月13日 (1,304)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (1,283)
アルファコート、北見駅前にホテル新築 「JRイン」...
2024年04月16日 (1,089)
藻岩高敷地に新設校 27年春開校へ
2022年02月21日 (993)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第258回「体温上昇と発熱」。病気による発熱と熱中症のうつ熱の見分けは困難。医師の判断を仰ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第34回「1日2470個のご飯粒」。食品ロスについて考えてみましょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第32回「読解力と認知特性」。特性に合った方法で伝えれば、コミュニケーション環境が飛躍的に向上するかもしれません。