がんや糖尿病などの生活習慣病に悩む人が増えています。生活習慣病は、食事、飲酒、喫煙など、生活習慣の偏りが長年積み重なって引き起こされると考えられています。ですから、生活習慣を見直すことが生活習慣病を予防する、有効な手立てであるといえます。お酒を減らす、禁煙する、食べ過ぎを避ける、などの方法が考えられます。どれも我慢を強いるものなので、実行にはハードルが高いといえます。
最近、生活習慣病の予防策として、運動習慣を身に付けることが推奨されています。日夜忙しく働いているビジネスマンは、とかくスポーツなどを楽しむ時間が少なくなり、運動不足に陥りがちです。運動不足は肥満の原因となるわけですが、肥満は糖尿病、高血圧、などの生活習慣病を引き起こす主な原因といえます。また、運動習慣を身に付けている人は、そうでない人に比べて、生活習慣病を発症する危険性が低いということも明らかになっています。
では、具体的にどの程度の運動をすると運動習慣といえるのかというと、週に2回、1回につき30分以上の継続した運動を行うこととされています。週に2回というと、週末に運動をして、平日にもう1回運動をすればよいことになり、それほど難しいことではないことが分かります。
運動の種類は手軽なものでよくて、運動の強さは関係ありません。30分以上継続できる運動がよいので、ジョギング、サイクリング、水泳などで十分だとされています。ウォーキングでも有効であるとされています。週2回30分以上のウォーキングというと、誰でもすぐにでも実行できますね。
このような運動習慣を持っている人がどのくらいいるのかという厚生労働省の調査があります。日本では男性の30%、女性の25%の人が運動習慣を持っていることが明らかになりました。ところが、65歳以上に限ってみると、男性は42%、女性の36%と、割合が増えています。
一方、20歳から64歳の現役世代では男性は21%、女性で18%と割合が下がってしまうのです。とくに30歳代では10%程度に落ち込んでしまいます。生活習慣病が起こりやすい世代で運動習慣が身に付いていないのです。現役世代の皆さん、生活習慣病予防のため、運動習慣を身に付けることから始めませんか?
(札医大医学部教授・當瀬規嗣)