おとなの養生訓

おとなの養生訓 第102回「ちゃんぽんと忘年会」 飲酒量忘れ飲み過ぎに

2016年12月09日 18時13分

 一晩に色々な種類のお酒を飲むことを「ちゃんぽん」といいます。ちゃんぽんとは色々なものをまぜこぜにするという意味で、江戸時代から使われてきた言葉です。昔から、ちゃんぽんは酔いが早いとか、悪酔いするとか言われてきました。しかし、色々なお酒を一緒にするのなら、カクテルを飲めばたちどころに酔ってしまうはずですが、そうならないことはご存じのとおり。結局、色々なお酒を飲めば、口当たりが変わって、いつもより量を飲んでしまうから、というのが結論です。

 と、考えると、年の瀬のおなじみの忘年会は、とても危ないということが分かってきます。なぜなら、忘年会はちゃんぽんが不可避だからです。まず宴会の初めに乾杯でスタートしますが、これはビールが定番で、少しおしゃれな会や、クリスマス近くだとシャンパンになったりします。

 シャンパンなら、2杯目はビールに切り替えるでしょうから、すでに2種類。ビールは飽きやすいお酒なので、宴が盛り上がると、日本酒や焼酎などに切り替える人が多く、洋食のメニューならワインに切り替えるでしょう。それもご丁寧に白から赤へ。

 こうしてみると、最低でも2種類、最悪、4、5種類のお酒を、1次会だけで飲んでしまいます。まあ、ここでご帰宅なら問題はありませんが、大イベントである忘年会です。大多数の人は2次会へ移動です。そこでは、ワイン、ウイスキー、カクテル、ビール、焼酎、マッコリなどを選ぶことができます。盛り上がれば、いろいろ飲みたくなります。さらに盛り上がれば3次会。ここで、日本酒やビールに戻る人も多いようです。

 全体を眺めてみれば、忘年会を楽しむ人の大半は、ちゃんぽんになるということです。重ねて断言しますが、ちゃんぽん自体は悪いことではありません。でも、ちゃんぽんすると相当な量を飲むことになります。

 ちゃんぽんを繰り返すと、実際に飲んだお酒の量が分かりにくくなります。あるものは薄く、あるものは濃です。酔いが回ると飲んだ量を忘れがちになることも無視できません。口当たりや味が変わるので、飽きが来ないことも問題です。対処法は、ただ一つ。「忘年会は飲みすぎる」ことを忘れないことです。相当に難しいことは分かっていますが…。

(札医大医学部教授・當瀬規嗣)


おとなの養生訓 一覧へ戻る

ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • 東宏
  • 古垣建設
  • web企画

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

おとなの養生訓 第245回 「乳糖不耐症」 原因を...
2023年01月11日 (1,423)
函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想
2021年01月13日 (1,315)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (1,296)
アルファコート、北見駅前にホテル新築 「JRイン」...
2024年04月16日 (1,098)
藻岩高敷地に新設校 27年春開校へ
2022年02月21日 (996)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第258回「体温上昇と発熱」。病気による発熱と熱中症のうつ熱の見分けは困難。医師の判断を仰ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第34回「1日2470個のご飯粒」。食品ロスについて考えてみましょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第32回「読解力と認知特性」。特性に合った方法で伝えれば、コミュニケーション環境が飛躍的に向上するかもしれません。