おとなの養生訓

おとなの養生訓 第130回「塩分制限」 米が原因で取り過ぎに

2018年02月23日 07時00分

 塩分をたくさん取ると高血圧となり、脳血管、心臓、腎臓に障害がおこり、脳卒中、心筋梗塞、腎臓病など重い病気となる危険性が高まります。そこで、塩分摂取を制限することが推奨されてきました。かつて、日本人は1日に20㌘以上の塩分を摂取していました。そのため、高血圧となり「脳溢血」と呼ばれていた脳出血により亡くなる人がたくさん出ていました。そこで、塩分制限の全国的なキャンペーンが行われ、日本人の塩分摂取量は徐々に減少していきました。最近の調査では日本人の平均的な摂取量は1日に11㌘程度となっています。

 健康診断で「血圧が高め」という診断が出ると、医師から塩分を控えるように指導されます。ではどのくらいに減らせばいいのかというと、1日で6㌘未満が目標です。つまり、いつもの食事で取る塩分を半分に減らさなければならないのです。

 実は、これは結構大変なことです。日本食は基本的に塩分摂取が多くなるからです。それはお米が原因です。お米にはほとんど塩分はありません。でもご飯を食べるためには、どうしても塩味が欲しくなるのです。

 味噌汁はいうに及ばず、ご飯の友と呼ばれるものは、ふりかけ、つくだ煮、漬物、明太子等々、すべて大量の塩分が含まれています。また、おにぎりやお寿司は、作る過程で結構な塩を使っています。それに味の濃い具やしょう油を使うのです。さらに、うどん、パスタ、パンにも少なくない量の塩分が含まれています。とくにパンは何もつけない状態でも、かなりの塩分が含まれています。6㌘未満を目標にすると、外食はほぼ無理、家庭料理も相当な工夫がないと、味気なくて食べられません。

 そんなに苦労するので、塩分制限は長続きしません。どうしたらいいでしょう。ところが、最近のアメリカ合衆国での研究で、健康な人は1日10~15㌘でも将来、病気になる危険性は低いということが明らかになりました。

 7・5㌘以下では、むしろ病気の危険性が高まるというのです。もしそうなら、今の日本で塩分制限が必要な人は、ごく少数ということになります。日本での同様の研究が期待されるところです。もちろん、すでに高血圧や腎臓病などになってしまった人に塩分制限は必須ですが。

(札医大医学部教授・當瀬規嗣)


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