おとなの養生訓

おとなの養生訓 第132回「アルコール消毒」 お酒飲んでも効果なく

2018年03月23日 08時00分

 今年の冬はインフルエンザが大流行しました。普段は元気いっぱいのビジネスマンも、多数の方がインフルエンザの高熱で寝込んでしまいました。夜の盛り場では、「毎日、アルコール消毒しているあいつが倒れるなんてねぇ…」とうわさが飛び交います。インフルエンザはのどにウイルスがつくために起こるので、お酒がのどを通過するときに消毒できるという考えみたいです。でも、お酒でアルコール消毒は全くできないのです。

 消毒に最適なアルコールの濃度は70%で、60%以下になると効力が著しく落ちて、ほぼ意味がなくなることが分かっています。さらに、アルコール消毒液は、タンパク質に触れるとさらに効力が落ちるのです。タンパク質は人の体を作る成分そのものですから、消毒液が体に触れると、瞬間は効力があっても、みるみる効力が落ちていくのです。

 とすれば、ウイスキーのストレートでも40%程度しかないお酒を、ゴクリと飲むわずかな時間では、消毒にはならないということです。昔、時代劇で手傷を負って、それを処置するために、焼酎を口に含んで「ぷーっ」と吹きかける場面がよくありましたが、医学的には気休めということになります。

 でも、お酒に漬けた食べ物が全く腐らないことも事実です。だから低い濃度のアルコールが細菌やカビなどの繁殖を抑える力があることは間違いがありません。この辺が誤解を招く原因かもしれません。

 たとえば、お酒は酵母や麹菌などの微生物の作用によって作られるのですが、微生物のまわりにアルコールが貯まってくると、結局、このアルコールのために微生物は死んでしまいます。その限界の値は20%程度といわれます。なので、20%より濃い日本酒やワインは作れないのです。

 もっと強いお酒を造るには、お酒を蒸留して濃縮しなければならないのです。なぜ、20%程度で死んでしまうのかについては、アルコールが細胞を直に破壊する消毒のような作用ではなく、アルコール自体が細胞にストレスになり、細胞のはたらきを低下させて死にいたると考えられています。とすれば、この低濃度での作用には時間が必要なので、微生物を何時間もアルコールに漬けていないと起こらないことになります。

 やっぱり、お酒で消毒は難しいのです。

(札医大医学部教授・當瀬規嗣)


おとなの養生訓 一覧へ戻る

ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • オノデラ
  • 古垣建設
  • 東宏

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想...
2021年01月13日 (4.1k)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (2.4k)
道が4月1日付人事異動を発令 本庁係長級以上で29...
2020年04月01日 (1.5k)
100Nの高強度コンクリ 北8西1再開発で道内初打...
2021年03月30日 (1.2k)
新幹線・新小樽駅の駅前広場計画案...
2021年03月25日 (1.1k)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 道央3市
にぎわい取り戻せ
new

道央圏3市の商工会議所、商工会のトップに、現状の打破とにぎわい回復に向けた取り組みについて聞く。

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第205回は「ドライアイ」。画面の注視や室内の乾燥が原因に。まばたきを意識して防ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第7回「インテリアコーディネーター心得」黒子に徹し、住まいの主役であるお客様に寄り添います。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第6回「経営における判断の遅さ」わからないことは専門家や第三者に相談し、迅速な判断を目指しましょう。