おとなの養生訓

おとなの養生訓 第146回「気分が下がる」 日照時間の長さが関係

2018年10月26日 07時00分

 実は、私は11月が苦手なのです。10月の末か11月の初旬に初雪を迎えると、急速に寒くなっていきます。秋分の日を過ぎて、日暮れが一段と早く感じます。勤務時間中に日が暮れてしまうようになると、気分がすっかり萎えてしまいます。街路樹はすっかり葉を落としてしまい、街はモノトーンとなり、沈んで見えてきます。車のタイヤ替えも面倒くさく感じてしまいます。何かにつけて気分が下がることが重なってしまうからです。

 これが、12月となると、気分は全く変わってきます。街は雪に覆われて、俄然明るく見えてきます。そうなると寒さも逆に身が引き締まる感じがして、嫌でなくなります。年末ですから、街も明るく飾られています。

 忘年会、クリスマス、年越しと、行事が立て込んでいて、息つく暇もありません。お歳暮のやり取り、年賀状書きもあります。年末の休暇とお正月への期待感もあって、気分はどんどん盛り上がっていきます。私が極端なのかもしれませんが、12月との対比もあって、11月が近づいてくると、なんとなく気分が下がり始めます。

 季節的に人の気分に上下があることは、医学ではすでに意識されていて、特に日照時間との関係が指摘されています。日照時間が短くなってくる晩秋から初冬にかけて、気分が下がり気味になり、きっかけがあると、うつ状態に陥るということです。「季節性うつ病」という病名も存在するくらいです。世界的には北半球、とくに冬に日が明けなくなる北極圏では少なくない人がうつ病になるといわれています。

 ですから、11月に気分が下がるのは、私だけでなく、結構な人数の方に毎年起こることと理解できます。11月の気分の下がりを、自分のせいと悲観する必要は全くないといえます。さらに、この気分の下がりには対処法があるのです。

 私が12月に気分が上向きになることは、まさにそのことを示しています。やることがあって、それをこなしていくうちに気分が上向きになっていくのです。街が明るくにぎやかになることも、有効なのでしょう。周りが明るくにぎやかになっているところに、あえて身を置くということも、気分を上げると期待できます。11月は、12月を楽しみにして乗り切りましょう!

(札医大医学部教授・當瀬規嗣)


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