「北方領土、先行して2島返還も」
元防衛相 森本 敏氏
ノンフィクション作家 佐藤 正明氏
ジャーナリスト 田勢 康弘氏
コーディネーターを務めた元防衛相の森本敏氏は、9月にロシアのウラジオストクで開かれた経済フォーラムで、プーチン大統領が前提条件なしで平和条約を年内に結ぼうと発言したことに触れ、ノンフィクション作家の佐藤正明氏とジャーナリストの田勢康弘氏に今後の展開を尋ねた。
佐藤氏は安倍晋三首相がこれまで20回以上にわたりプーチン大統領と会う中で事態が進展していないことに疑問を呈し、「お金を出しているだけ。今後についても懐疑的に見ている」と発言した。
一方、田勢氏は「プーチン大統領がトップのうちに解決しなければ北方領土は返ってこない」と強調。ウラジオストクでの発言についても安倍首相は前向きに捉えてもよかったとし、「これから1年間のうちに取っ掛かりがあれば領土問題は動くかもしれない」と述べた。
森本氏は「日本側はそもそも4島の帰属を解決した後に平和条約を締結するという前提にある」と、両者の立場の違いを述べた。そして、北方領土返還に先立ち、歯舞、色丹の2島返還の可能性について両氏に訪ねた。
両氏ともに、先行して2島返還については賛成の立場を取った。しかし、田勢氏は「平和条約を結んで2島の帰属交渉するのがいいとは思うが、日本では受け入れられないのでは」とし、佐藤氏は「安全保障の問題などをきちんと国民に知らせなければならない」とした。
森本氏は「日本側の原則に沿うと拒否することになると思う。しかし、ロシア側も国際的な立場を考えると、どこかで解決しなければという考えがあるはず」とし、日本は正々堂々と粘り強く交渉を続けるしかないと交渉の難しさを指摘した。
その後の質疑応答では、北方四島における共同経済活動が領土返還につながるかという質問に対し、森本氏は極東が豊かになることが分かり、ロシア側が自ら動くような国民感情ができれば可能性はあるとした。