付け合わせとは、中心的なメニューに少量つける食材のことだそうです。栄養バランスというより見栄えを重視して付けられるものです。例えば、ステーキの「向こう側」に並ぶ芋やニンジン、焼き魚に大根おろし、チャーハンに紅ショウガ、そしてなんといってもカレーライスに福神漬けですね。確かに、付け合わせがあるかないかでは、見栄えが全く違います。それに、メインを食べている最中に時々付け合わせを口にすると、味の変化によってメインに対する「飽き」が解消されます。
しかし、見栄えがいい、というのはどういうことでしょうか?メインだけでは色が単調であり、別な色を加えて、色取りをよくするということは、うなずけます。それ以上の効果があることが、すでに心理学により証明されています。それは、付け合わせによって食欲がそそられる効果があるということです。赤やオレンジ、黄色などの暖色系の色は食欲をそそる色とされます。
ですから、全国のファーストフードやファミリーレストランの内装は、暖色系を基本にして施されています。付け合わせでも、福神漬け、紅ショウガ、ニンジン、プチトマトなど赤色のものが多いのです。もう一つ、緑色も食欲増進に効果的といわれます。ネギ、セロリ、パセリ、バジルなどの薬味にも色彩効果があるのです。
逆に、寒色系は食欲を抑えるといわれます。確かに、よく考えると、青色の食べ物って、見かけないですよね。以前、テレビで青色のカレーライスというのを見ましたが、珍しさはありますが、どうにも食べたい気持ちが起きませんでした。しかし、色の効果は器にはあまり関係がないようで、寒色系の器は普通にありますよね。食べ物自体の色であるかどうかがポイントのようです。
というわけで、料理人の方々は、色取りをよくすることに、相当なこだわりがあるようです。単調な色のレシピに一色添えることを、必ずやっています。パセリなんて、典型的です。確かに見栄えはいいのですが、あのパセリを食べる人って、どのくらいいるのでしょうか。私はパセリを食べられるので、口にすることも多いのですが、とりわけおいしいものではありませんよね。パセリはよく残されるので、使いまわししていたなんて事件も起こっています。パセリはいらないんじゃないかな…。
(札医大医学部教授・當瀬規嗣)