おとなの養生訓

おとなの養生訓 第156回「時差ぼけ」 東への移動で酷くなる

2019年03月22日 07時00分

 生まれて初めて海外旅行でハワイに行った時のことです。ハワイといっても観光旅行ではなく、ハワイ島のリゾートホテルで開催された学会で研究発表を行うために行きました。学会は4日間で、そのリゾートホテルに宿泊していました。その間、ずっと時差ぼけに悩まされることになりました。

 まず、飛行機の中でほとんど寝られず、到着が朝だったので、寝不足でボーっとした状態で会場入りしました。はじめは緊張で眠気に襲われることはなかったのですが、頭がぼんやりとして学会発表に集中できません。そして夜になりました。現地時間の10時ぐらいから、頭がすっきりとしてきて、全く眠くなりません。結局、ほとんど眠れないまま、朝になりました。

 2日目の午前中から猛烈な眠気が襲い、学会はほとんど居眠りしている始末。こうなると、体調が落ちて、食事もおいしくありません。3日目に時間が空いて、ハワイ島一周のドライブに出かけたのですが、運転手でなかったために、車内でほとんど居眠りをしていました。結局、4日間、夜中は起きていて、昼は居眠り、という散々な結果に終わったのです。時差ぼけがこんなにひどいものとは思ってもみませんでした。

 人は1日に2度、眠気が起こります。一つは午前2時前後に強い眠気、もう一つは午後2時前後に弱い眠気です。そこで、日本とハワイの時差はマイナス19時間であることを考慮します。もし、ハワイの時間に慣れていないとすると、現地の午前7時前後に強い眠気、午後7時前後に弱い眠気ということになります。朝食を食べるころに強い眠気が来ているのだから、昼は徹夜明けみたいな状態です。これは使い物になりません。

 実は、時差ぼけは東に向かって移動した場合に強くなると言われていて、日本からハワイへ行くのは特に時差ぼけがひどくなりやすいのだそうです。初めて海外旅行がハワイだったのは、最悪の選択だったようです。これに懲りたためか、それ以来、私はハワイを訪れたことがありません。

 時差ぼけにはメラトニンという催眠ホルモンを服用するのがいいとされているのですが、残念ながら日本ではまだ、発売されていません。メラトニンが手に入ったらハワイ旅行に挑戦しましょうか。散々だったハワイ旅行は日本が平成になった日に出発しました。それから30年。元号も変わろうとしています。

(札医大医学部教授・當瀬規嗣)


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