おとなの養生訓

おとなの養生訓 第165回「のどの渇きと湿度」 適切な水分補給が必要

2019年08月09日 09時00分

 この夏の北海道は蒸し蒸しと、湿度が高い暑さが続いています。ビヤガーデンも盛況のようで、私も度々、足を運んでいます。蒸し暑さを吹き飛ばすには、ビールののど越しが絶好です。

 気温と共に湿度が高いと、のどが渇くようになります。当然ながら湿度が高いということは、空気中に水分がたくさん含まれている状態です。洗濯物も乾きにくくなるような状態です。でも、のどは渇き、水分が欲しくなるのです。この謎を解くカギは、発汗にあります。

 気温が高くなると、体温が高くなるのを防ぐために、発汗が盛んになります。かいた汗が皮膚表面で蒸発し、その際に皮膚の熱を奪う現象が起こります。いわゆる「気化熱を奪う」ということです。

 これにより皮膚は冷やされ、体温上昇を避けることができます。このとき空気の湿度が高くなっていると、汗の蒸発がしにくくなります。すでに空気中にたくさんの水分があるので、さらに汗の水分が蒸発により加わることを妨げるからです。

 こうなると、汗は蒸発しきらずに皮膚の上にたまり、流れ始めます。皮膚の冷却もできなくなるので、体温が上がり気味になり、それに反応して、さらに発汗するようになります。体中、汗でぐっしょり、というような状態です。結果として相当な水分が汗として失われることになります。

 体の水分が不足すると、人はのどの渇きを感じて、水を飲みたくなります。のどの粘膜が渇いているのではなく、体の水分が足りないからのどが渇くのです。だから、いくら湿度が高くても、のどがカラカラになったように感じることになるのです。適切な水分補給をしないと、脱水症となり、発汗が低下して体温が上昇して熱中症に進んでしまいます。

 のどが渇けばビールがおいしいのは間違いありません。水の量も相当なので、のどの渇きが癒えて、一件落着したような気になります。しかし、油断は禁物。アルコール自体は、排尿量を増やす作用があり、ビールだけでは不足している体の水分量を是正できないのです。理想的にはビールと同時に水を補給する必要があるのです。

 ビールを飲みながら水も同時に飲むのは、難しいですよね。飲み終えた後に、水を飲むのが妥当なところでしょう。ビールを飲み過ぎて、水が入らないという状況は避けたいものです。

(札医大医学部教授・當瀬規嗣)


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