おとなの養生訓

おとなの養生訓 第167回「高血圧」 放置せずに治療が必要

2019年09月13日 09時00分

 職場の健康診断で、高血圧を指摘された方がたくさんおられると思います。日本では約1000万人が高血圧と推計されています。つまり、誰でもかかる危険性がある病気であるといえます。高血圧症自体は、ほとんど症状がなく、健診で指摘されても放置しがちですが、高血圧が続くと、さまざまな合併症が引き起こされ、それによって命を落とすことになりかねない深刻な病気です。やはり、高血圧は治療が必要なのです。

 血圧とは、心臓から全身に血液を送り込む動脈に生じた圧力のことです。この圧力によって血液が押し流されて、全身へ配分されます。血圧の源は、心臓です。心臓は収縮して中の血液を動脈に押し込みます。この圧力が血圧となるのです。

 心臓の収縮によって動脈に生じる圧力の最高値を収取期血圧といいますが、これが健診で示される「上の血圧」です。心臓は収縮したのち、再び血液を送り出すために、一旦、拡張に転じます。これにより心臓と動脈の間の弁が閉じて、心臓の力が動脈に伝わらなくなります。

 しかし、動脈には弾力性があり、心臓から入ってきた血液によって押し広げられています。心臓が拡張に転じたとき、動脈は元に戻ろうとするので、動脈内の血液を押し流す圧力が、低下しながらもかかり続けます。この後、心臓が再び収縮に転じると、圧力が上昇しますので、拡張している最後の時点に最低値になります。これを拡張期血圧といい、健診で「下の血圧」というのです。健診で二つの血圧の値が出ますが、これは代表値で、血圧自体は連続的に上下を繰り返しているのです。

 運動をすれば、全身で血液が必要になるので、そのために血液をたくさん送り出すため、血圧は上がります。これは病気ではありません。体を動かさないで、安静にしていたときに測定される血圧が、正常範囲を超えると、高血圧と診断されることになります。

 血圧が上がる理由は、循環している血液量が多い場合と、動脈の弾力性が失われる場合があります。前者は塩分を取りすぎたときに血液量が増える場合です。後者の原因は動脈の老化現象、すなわち動脈硬化が起こっている場合です。動脈硬化は飲酒、喫煙、過食、肥満などで進行することが分かっています。高血圧を指摘された方は、生活習慣を見直し、血圧を下げるように心掛けるべきです。

(札医大医学部教授・當瀬規嗣)


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