体重を気にする人にとって、「カロリー」という言葉は、非常に気になると思います。でも、カロリーは具体的に何を示しているのか、理解している人は意外と少ないものです。結果として、カロリーについて誤解が生じているようです。
そもそもカロリーは熱量の単位の名称です。水1㌘の温度を1度上昇させる熱量を、1㌍と定義しています。熱はエネルギーの一種なので、カロリーはエネルギーの単位でもあるわけです。
食べ物に含まれている糖質、脂質、たんぱく質の三大栄養素は、体内で分解されてエネルギーを取り出すことができます。そこで、それぞれの栄養素で完全に分解された場合に生じるエネルギーを割り出して、カロリーで表現することができます。
1㌘当たり、糖質で4・1㌔㌍、脂質で9・0㌔㌍、たんぱく質で4・2㌔㌍です。この値に基づいて、食べ物に含まれている栄養素の量を測って割り出したのが、食べ物のカロリーと呼ばれる数値です。実際用いられる単位はキロカロリー、つまりカロリーの1000倍であることに注意してください。
しかし、この食べ物のカロリーは、すべてがエネルギーとして使われるわけではありません。特に、たんぱく質は、一旦アミノ酸に分解されてから吸収され、大半は再びタンパク質に合成され、体の構造の材料や酵素になります。また、脂質の一部は細胞を作る材料として利用されます。つまり、このように食べた栄養素の一部はエネルギー源として利用されないのです。
一方、糖質はほとんどがエネルギー源として利用されます。そして、もし余剰の糖質があった場合は、脂質に変えられて皮下脂肪などとして貯められます。これが肥満の原因となるのです。つまり、同じカロリー量を摂取したとしても、たんぱく質が多く含まれている食べ物を選んだ場合、肥満になりにくいといえるのです。
さらに、たんぱく質は体をつくる材料になるのですから、積極的にとることで体が丈夫になることが期待できるわけです。お肉やお魚をより多く食べれば、その分ごはんやパンを減らすことができ、より理想的なバランスになり、空腹を我慢しないで減量することが期待できるのです。お肉やお魚、もっと食べてもいいのですよ。
(札医大医学部教授・當瀬規嗣)