おとなの養生訓

おとなの養生訓 第180回「マスク」 感染の予防には無意味

2020年03月27日 10時00分

 新型コロナウイルスの感染対策として、マスクの使用があげられています。そのため、たくさんの人が購入に走り、日本では極端なマスク不足に陥りました。高額な転売行為も横行し、ついにインターネットでの高額売買が禁止される事態となりました。増産に努めているそうですが、需要に追い付かず、ドラッグストアの店頭にはほとんどありません。しかし、マスクはそんなに必要なものなのでしょうか?

 一般に使われている使い捨てのマスクをサージカルマスクといいます。サージカルとは外科用という意味です。もともとこのマスクは、外科医が手術中に使うためのものでした。腹部や胸などを開いて手術をするわけですが、その最中に外科医の息や唾液の飛沫(ひまつ)、汗などが、開いている部分に入って感染を引き起こすのを防ぐのが目的です。なので、口だけでなく、鼻から顎までしっかり覆う必要があるのです。

 従って、サージカルマスクの目的は、マスクをしている人が、他の人に病原体を移すのを防ぐことですから、せきやくしゃみが出ている人が、マスクをするべきなのです。

 では、逆に、他の人からくる病原体をマスクで防げるのかというと、残念ながら効果は極めて低いと言わざるを得ません。例えば、ウイルスが含まれている飛沫を浴びたとします。飛沫がマスクを通過する危険性はないと思いますが、マスクで覆われていない顔の部分には飛沫が付着します。人は無意識に顔を触るので、飛沫は鼻や口に移動して、感染が成立する危険性は少なからずあります。飛沫はマスクの隙間から侵入する危険性もあります。

 さらに、実はマスクを正しく装着している人はほとんどいないので、せっかくマスクを付けていても、無駄になっていることが多いのです。例えば、鼻を覆わないで付けている場合です。また、息が苦しいとマスクを顎にずらして、口にかけ直す行為です。こうすると顔の周りの飛沫を口へ誘導することになります。

 症状がなく、まだ感染していない人が、予防の目的でマスクを使うのは、意味がないということです。感染予防は手洗いに勝るものはありません。マスクを無駄遣いしないで、本当に必要としている医療関係者、介護職員、持病のある高齢者などにマスクが行き渡るようにしてもらえないでしょうか?知事もマスクをやめてもらえません?

(札医大医学部教授・當瀬規嗣)


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