おとなの養生訓

おとなの養生訓 第187回「水分補給」 熱中症防止へ小まめに

2020年07月10日 09時00分

 私たちは毎日トイレを使います。そして、1日におおむね1・5ℓ程度のおしっこを出します。おしっこは腎臓に流れ込んだ血液から作られます。心臓は絶え間なく動いて、全身に血液を送り出していますから、腎臓には常に血液が流れ込んできます。したがって、腎臓は絶え間なくおしっこを作り続けているわけです。1分間当たり約1㎖になります。これが24時間続くので1・5ℓになるのです。とすれば、1・5ℓの水分が失われるのですから、その分は水分補給されなければなりません。

 水分はおしっこ以外でも失われます。まず、吐き出す息にかなりの量の水蒸気が含まれています。寒い日に息が白くなるのは、息に含まれている水蒸気が水滴に戻るからです。もちろん、呼吸は常にしていますので、吐く息に含まれる水分量はかなりのものなります。1日当たり300㎖ほどと推定されます。

 また、水分は直接皮膚からも出てきます。もちろん、汗もありますが、汗をかかなくても1日当たり600㎖程度は水分の放出があります。呼吸と皮膚から失われる水分を不感蒸泄(または不感蒸散)といい、合計の水分量は1日当たり1ℓ弱となります。

 したがって、この分も水分補給で補わなければなりません。おしっこと不感蒸泄に、大便に含まれている水分を足すと、2・6ℓにもなる水分補給が必要なのです。

 食べ物には1日当たり1ℓ程度の水分が含まれていますので、飲み物などで1・6ℓの水分補給が必要になります。コップで換算すると8杯分です。通常でも、このくらいの水分補給が常に必要なのです。いっぺんにこんな量の水は飲めませんから、小まめに水分補給するのがいいことになります。

 夏の日には、気温が上がり、体温調節のために発汗が起こります。そうすると体から失われる水分はさらに上乗せされることになります。炎天下で作業や運動をすると、発汗だけで1時間当たり300から700㎖にもなります。大きめのペットボトル1本分は必要になるのです。

 というわけで、暑い盛りには、おしっこや不感蒸泄の分も含めると、1日に3ℓ以上の水分が必要になります。これを怠ると脱水となり熱中症で倒れてしまうことになるのです。水分補給、ゆめゆめ怠りなく。

(札医大医学部教授・當瀬規嗣)


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