新型コロナウイルスに対する感染防止の対策は、さまざまなテレビ、新聞などのメディアにより、懇切丁寧に周知されています。そして、かなりの方が、それを実行されて、「新しい日常」を過ごされています。現在、全国的には感染拡大が再燃し、東京などは感染第二波といえる状況に入ってきましたが、幸いか、北海道はそれほどでもありません。すでに第一波、第二波を経験している道民は、感染防御に努力されていることが見て取れます。
現状は第三波とは言えず、第二波が長引いているというところです。それは、重症患者や死亡者が6月以降少なくなり、7月に入ってほとんど増加していないことからも明らかです。とはいうものの、時折、感染者クラスターが生じて、まとまった人数の感染者の報告があり、油断はできないところです。
最近、感染対策の状況を拝見すると、若干、気になることが散見されます。まず、アルコールなどによる手指消毒ですが、指先に少量つけて、数回手をすり合わせておしまいにする人が結構いることです。これでは消毒効果はほとんどありません。
消毒液はたっぷり目に使い、指先だけでなく、手のひら、指の間、そして手背にも満遍なく消毒液をのばさなければなりません。手首もお忘れなく。こうすると、15秒以上の時間が必要になります。
そして、消毒液を使った後に、ペーパーやおしぼりで拭き取らないでください。せっかくの消毒効果が台無しになります。あくまでも自然乾燥に任せるのです。ペーパーやおしぼりが汚染されている危険性がゼロではないからです。
マスクでは、依然として、鼻を覆わない人が多いことです。これでは、もし無症状感染していたら、ウイルスを鼻からまき散らしていることになります。鼻の粘膜はウイルスの標的であることも認識するべきです。また、顔を手で触らないように、意識されているでしょうか?
一方、親しい友人同士とはいえ、お互いにマスクなしで、大声で会話をしている人たちも見かけます。特に地下街やススキノ界隈の路上で。
以上のことは、たとえ三密を避ける努力をしても、それを水泡に帰す行為です。感染対策は毎日のことなので、とかく、安易に流れたり、形だけになったりしやすいのです。対策の再点検、重要です。
(札医大医学部教授・當瀬規嗣)