おとなの養生訓

おとなの養生訓 第189回「酔いつぶれ」 睡眠ではなく意識障害

2020年08月18日 09時00分

 飲み過ぎて眠ってしまう人というのは、結構いるものです。1次会では楽しく飲んでいた人が、2次会ではいつの間にか眠っている、という感じです。結局、2次会はほとんど眠っていることになるので、2次会の会費を徴収するのは気が引けるくらいです。1次会で帰っても問題ないと思うのですが、そういう人ほど気を使ってくださるのか、途中で帰るという選択肢はないようです。でも、こういう人は、2次会が終わる頃には目が覚めて、案外しっかりとした足取りで帰宅なさいます。場合によっては、締めのラーメンにお付き合いすることも。

 一方、1次会よりも2次会でさらに盛り上がって、どんどんお酒を飲み、話をして周りを楽しませる人がいます。2次会が終わっても、勢いがついていますから、当然ながら帰らず、周りを3次会に誘います。

 ところが、3次会でだんだん静かになり深い眠りに陥ります。3次会が終わっても目が覚めません。ゆすり起こしても反応はしますが、すぐに眠ってしまいます。声掛けに対する返事もちぐはぐで要領を得ません。放っておくと、飲酒事故につながりかねません。お店に迷惑をかけるわけにもいかないので、みんなで担ぎ出して、タクシーに乗せ、一人二人付き添わせることになります。

 前者も後者もアルコールによる脳の抑制作用によって起こる、一種の意識障害です。決して通常の睡眠ではありません。だから「眠っている」というのは正しくありません。ただ、前者のタイプは、比較的お酒に弱いタイプで、数杯のお酒で血中アルコール濃度が上がり、脳に対する抑制作用が出てしまうようです。しかし、実際に飲んだアルコール量が多くないので、1、2時間のうちにアルコールが代謝されて減ってくるため、復活できるのです。

 一方、後者のタイプは、ややお酒に強いタイプです。しかしアルコールの処理能力以上の大量のお酒を一時に飲んでいるので、脳に対する抑制作用が出た後にも、なかなか血中アルコール濃度が下がりません。通常は、アルコールの減少まで6ないし12時間程度かかると予想され、その日のうちに復活は望めません。お酒の作用で飲酒のペースを見失ってしまったのです。

 酔いつぶれたのはアルコールの脳に対する抑制作用のためです。決して睡眠ではありませんので、くれぐれもご注意ください。

(札医大医学部教授・當瀬規嗣)


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