雑多な手続き一切合切担う
初めまして。今日からコラムを担当いたします行政書士の池田玲菜と申します。よろしくお願いいたします。
今回は初回なので、行政書士とはどのような資格なのかをご説明したいと思います。
「行政書士です」と自己紹介をすると、よく言われるのは「他の資格の方とはどう違うのでしょうか。どなたに頼むべきか分からなくて」というお困りごとです。
行政書士の業務範囲は、行政書士法に定められています。それによると、「官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類を作成すること」が仕事です。つまり国(北海道開発局)や北海道、市町村などに提出するさまざまな書類を作成すること、それを提出することが仕事です。
国や北海道に提出する書類は、許可の申請書、変更届などです。建設業の許可を取得したい、自動車の名義を変更したいといった日常的な数ある雑多な手続きの一切合切を担うことができるのが行政書士です。
「その他権利義務又は事実証明に関する書類を作成すること」という記載から、契約書の作成や遺言書の作成も行政書士の業務範囲となります。その他にも会計帳簿の記帳業務、議事録の作成なども含まれます。
以上の業務は〝独占業務〟と呼ばれ、こういった業務を複数の企業から受任しています。事業者であれば、1年に1回しか行わない建設業の決算報告も、関与先の数だけ作成・提出をしています。申請先の窓口の担当者とも顔見知りとなり、時間のあるときは雑談により最近の業界動向を教えてもらうこともあります。
一方で、扱う業務の幅広さから、慣れている業務に偏りは生じます。普段受任しない業務の相談があった場合は、頭の中はフル回転です。調査する量も増え、申請先の窓口ではしどろもどろになる始末です。その道に慣れている先輩に教えを乞いながら業務を進めることもあります。
行政書士も一般的な事業主なので、独占業務以外の業務を行うことも可能です。会社のコンサルティングや事業計画の作成、融資計画の相談を受けることもあります。
さて、「行政書士にはどのような業務を頼めばいいのでしょうか」という疑問には、「とにかく何でも相談してみてください。私ができることはご対応しますし、できないことは他の専門家をご紹介します」とお答えしています。
行政書士や弁護士、税理士など資格ごとの業務の違いは、業際問題と言われ、開業以来、最も気を付けるべきことと教えられます。このように私たちにはとっても重要なものなのですが、困っている方には分かりづらいものです。業際問題の判断も丸投げして、身近な行政書士に相談してみてください。
(北海道建設新聞2020年10月1日付3面より)