お客と出会うよい機会に
中小企業庁では5月31日まで、一時支援金の申請を受け付けています。国の緊急事態宣言の発令に伴う飲食店の時短営業、または外出自粛などの影響により、今年の1月から3月のいずれかの月の売り上げが、昨年または一昨年に比して半分以下となっている方を対象に、法人60万円、個人事業主30万円を上限として給付金が支給されます。
一時支援金の申請には、事前確認という手続きが必要です。事前確認を行う登録確認機関は、商工会議所や金融機関、税理士、行政書士などの資格者から募集しており、登録を認められた機関は、ウェブサイトで公表されています。一時支援金の申請を希望する方は、ウェブサイトから登録確認機関を検索し、電話などで予約して事前確認を受けます。
事前確認の目的は、不正受給や誤って受給してしまうことを防ぐことです。登録確認機関は、事前確認にて事業を実施しているかを確認し、給付要件などを説明します。
弊所も登録確認機関として登録し、数件の事前確認を実施しました。当初は、元々の関与先に対して事前確認を実施することを目的としていましたが、結果的にはそれまで取引のなかったお客さまと出会うよい契機となりました。
せっかく弊所を選んでいただいたので、今後の参考にしようと、事前確認の傍らに、事業の概要を伺います。先述のとおり、事前確認の内容は事業実施の有無の確認と給付要件の説明です。しかし費用を頂いていることを考えると、それだけで終わってしまうのは味気ないと感じてしまうのです。
神社や町内会のお祭り、遊園地に屋台を出している方がいらっしゃいました。昨年の遊園地は、来客数は減少したものの綿あめの需要は多かったそうです。お祭りが中止し、綿あめを目にする機会が減少したからではないかと分析されていました。経済学の教科書に出てきそうな事例です。
害虫駆除の業者さんもいらっしゃいました。繁華街の利用が減少しているため、餌が少ないからと予想を立ててから、売り上げ減少の理由を聞いてみました。すると意外なことに、害虫の多くは旅行者の靴やかばんなどに付着して移動するものであり、移動制限により害虫が持ち込まれることが減少したことが原因とのことでした。
そのほかにも紙のアートギャラリーを運営されている方など、普段出会えない業種の方にも出会うことができました。
世の中には数多くの職業があり、その道の方にしかわからないことばかりです。詳しくお伺いすると、世の中にはたくさんのビジネスチャンスがあり、どの事業主の方からも事業展開の理念や極意を感じます。事業実施の奥深さを感じる日々です。
(北海道建設新聞2021年5月7日付3面より)