先日、税理士事務所のご紹介で新規のお客さまとお会いいたしました。札幌市内で美容業と飲食業を経営されている敏腕女性社長です。今回ご依頼いただいた業務は補助金の申請書の作成です。締め切りまであまり時間のない依頼ではありましたが、まずは世間話をします。
いわく、当初は別の方にお願いしようとしていたとのことです。しかし、その方と打ち合わせをしても、会話は弾まず、新事業に対する共感を得ることができず、言いたいことが伝わっていない感じがしたようです。それまでワクワクしていた自分の新事業が魅力的ではないようにすら思えたとのことでした。
結局、タイミングや気が合わずに、依頼には至らなかったようです。申請書の作成は、事業を理解してもらうプロセスが難しいもので、人に頼まずに自分自身でやるべきなのではないかと考え、その旨を税理士事務所の担当者に伝えたところ、私の紹介に至ったとのことです。
私が、その担当者から事前に頂いた情報と合致しています。ご紹介いただいたお客さまに気が合わないと思われる場合を想定して、大変緊張して伺いました。結果的には、無事にご依頼を頂くことができました。
実は、このようなことはよくあります。補助金に関する業務に限らず、一般的な許認可取得業務であっても、「前の方と合わなくて」ということはよく聞く話です。
許認可取得に関する業務において、お客さまと気が合わなくても問題ないように思えます。お客さまが要件を満たしていることを確認し、書類を収集するプロセスにおいて、何ら粗相なく、迅速に処理をすれば継続的にお仕事を頂けると思っていました。
しかし、実際は、気が合わないという点をもって、ご連絡が来なくなることがあります。お客さま側の視点で考えるのであれば、気が合わない私と連絡をすることの気が進まず、ご自身で対応することにしたか、他の方に依頼することにしたのでしょう。
それは、賢明な経営判断だと思っています。つまり、現在の担当者と気が合わないのであれば、担当者や、場合によっては取引先自体を変えてもよいと思っています。
もちろん、新たな取引先を探したり、新しい担当者と新たな信頼関係を築くために、時間というコストはかかります。しかし、気の合わない相手に仕方なく料金を支払うより、気の合う方に感謝をもって支払う方が、有意義な経費の使い方になると思うのです。
仕事は気持ちよくやりたいものです。やりとりできる相手の数は有限です。せっかくお金を払うのであれば、「いい人」に払った方が幸せです。
自分が選ばれ続ける存在であるために、努力する必要性を感じます。
(北海道建設新聞2021年7月1日付3面より)