鉄のまちから技術発信

 製鉄、製鋼を中心とする室蘭港の産業基盤は、高度な技術力や研究開発力を持つ中小の製造業、建設業を集積させた。世界的な競争やデジタル化の波で取り巻く環境が変化する中、各社は技術開発や人材育成に積極的だ。室蘭テクノセンターは、ものづくり創出支援とデジタルトランスフォーメーション推進支援の2事業で企業の挑戦を資金面から後押ししている。ことし採択された取り組みを紹介する。(室蘭支局 星野 貴俊記者)

鉄のまちから技術発信(3)幌清 温度応答性水溶液活用のスマートウインドウ

2021年08月25日 12時00分

 日本製鉄室蘭製鉄所構内に本社を置く鉄鋼業。1961年に幌清建設として創業した。日本製鉄の協力会社として製鋼工場の製造ラインに携わり、銑鉄の不純物除去、鉄の成分調整、構内鉄道の運転、電気炉の操業など幅広い業務を担っている。構内で土木、建築工事を手掛けるため、建設業許可も取得している。

プレゼンテーション画面の前で、
新たなチャレンジが楽しいと話す神野課長

 室蘭工大と共同で取り組むのは、スマートウインドウの開発。ものづくり創出支援の「開発の芽育成支援事業」に採択された。地域の企業として、産学連携による雇用維持拡大や創出に貢献したいとの思いから、6月28日に同大と共同研究契約を締結した。

 スマートウインドウは電気、光、熱など外部からの刺激で色が変わる窓で、調光ガラスとも呼ばれる。電気を使った技術が実用化され、ボーイング787の機内窓で採用された。

 同社と室蘭工大が選んだのは温度応答性水溶液を使った技術の実用化。温度の上昇で水溶液が白濁する性質に着目し、同大の馬渡康輝准教授が研究を進めてきた。

 建築物の窓ガラスに応用できれば、気温が高い季節や時間帯に光の透過率を下げて直射日光を遮ることが可能だ。冷房費の削減につながり脱炭素にも貢献できる。

 実行責任者の神野洋明業務部技術企画課長は「大型の実験器具を製作し、遮光、遮熱の効果が最大になるよう水溶液の調整を進めている。数年をかけて実用化にめどをつけ、国内の複層ガラス市場への参入を目指したい」と大きな目標を掲げている。

 事業を進める技術企画課は、社として新しい技術を持ちたい-との思いから2020年4月に創設した。今回の技術開発の主目的は地域への貢献だが、国内で進む製鉄所の再編など同社を取り巻く環境の変化に対応するという側面もある。

 「事業を通じ、挑戦できる人材を育成することも目標。当社の一番の強みは現場の最前線で積み上げてきた経験と技術。蓄積したノウハウを新たなものづくりにつなげたい」と意欲を見せる。

(北海道建設新聞2021年8月4日付11面より)


鉄のまちから技術発信 一覧へ戻る

ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

再開発マップ(札幌版)
  • 川崎建設
  • 古垣建設
  • 東宏

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

ダクタイル鋳鉄管データ不正 十勝管内にも影響...
2022年01月14日 (5,269)
函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想...
2021年01月13日 (3,360)
「アイアンショック」の足音 鋼材高値、リーマン前に...
2021年07月15日 (3,167)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (3,142)
冬季は除雪オペレーター 谷組が女性従業員3人を通年...
2022年01月16日 (2,608)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓new

おとなの養生訓
第223回は「感染第6波」。ワクチンの追加接種が広がるまで、対策徹底を。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第16回「吉祥文様で良い一年を」。縁起の良い模様に背中を押してもらうのはどうでしょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第15回「事業拡大と補助者制度」自分以外でもできる仕事を人に任せながら、事業拡大について考えています。